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世界でもダントツに停電しにくい日本。首都圏の大規模停電はなぜ起きた?

(2016.12.13)

 2016年10月、11月と二ヶ月連続、首都圏で大規模停電が発生しました。

東京電力の新座変電所のケーブル断線による火災は、約37万件、延べ58万世帯が停電しました。もうひとつは、高崎線の停電とそれに伴う信号機トラブル。朝の通勤ラッシュを直撃し、午後3時近くまで復旧しませんでした。
最近では、東日本大震災後の計画停電などは記憶に新しいところではありますが、予期しない停電、みなさんが経験したのはいつごろでしょう。子どもの頃に雷や台風のときに見ていたテレビがプチッと切れ、部屋が真っ暗になり、あわてて懐中電灯やろうそくを探した経験がある人もいるでしょう。停電はどのように起こるのでしょうか。

 

世界からみる電気事情

近年、日本での事故停電時間は非常に少なくなりました。昭和60年前後から1軒あたりの年間停電回数は1回を切るようになり、平成26年はわずか0.16回という少なさです。これほど停電がなく、安定した電気の供給ができている国は他にありません。
ヨーロッパ諸国とくらべてもダントツに停電しにくいのが日本なのです。日本よりも少ないのは唯一アメリカ・ニューヨーク一都市のみ。同じアメリカでもカリフォルニアになるとダントツに停電率が高くなります。

  1. 日本は2014年度実績。電気事業連合会調べ。
  2. アメリカは大嵐を含む2014年実績。(出典)海外電力調査会編「海外電気事業統計」(2015年版)
  3. ドイツ、フランス、イギリスは荒天時を含む2013年実績。 (出典) CEER「Benchmarking Report 5.2 on the Continuity of Electricity Supply」

 グラフの「1軒あたりの停電回数の国際比較」では、中国や東南アジアは比較対象外になっています。中国や東南アジア各国は、急激な経済成長にインフラ整備が追いつかず、地域によっては計画停電や慢性的な電力不足が続いているというのが現状です。停電がなく安定した電力供給はまだまだ先のようです。

 

日本の電気は高品質

 電気の品質とはいったいなんでしょうか?
それは、先にも述べたように、停電が少ないこと。それからもうひとつは、電気が安定していることです。安定した電気というのはつまり,周波数や電圧がいつも一定であることです。
周波数や電圧が一定でないと,機械が正しく動かなくなり、工場で生産する製品が欠陥品になったり,家庭の家電製品が壊れたりすることがあります。周波数と電圧を一定にするためには,使われる量とつくる量のバランスを整えていく必要があります。このバランスが保たれていることが,最も安定して電気を送れる状態なのです。
世界的に見ても日本の電気の品質は優秀です。これは火力発電、原子力発電、水力発電をうまく組み合わせているために安定した供給ができること、送電線のルートを増やしたこと、事故が発生してもその影響を最小限にとどめる保護制御システムがあることなど、さまざまな取組みの結果といえます。

 

それでも停電が起こるのはなぜ?

 停電の多くの原因は、電気設備の故障に起因して発生します。とはいえ電気設備が故障すれば必ず停電するわけではありません。多くの国では、送電線1回線、変圧器1台、発電機1台などの機器装置の単一故障時に、原則として供給支障が生じないように電力設備を計画することが基本とされています。つまり、送電線、変圧器、発電機がそれぞれ個別で壊れても電気が止まらないように設計されています。

ではなぜ東京電力の火災は停電を引き起こしてしまったのでしょうか。
東京電力によると、新座変電所は発電所からの電気を都内に送る重要なポイントの一つで、練馬区、豊島区の各変電所につながり、さらにそこから都内の複数の変電所に送電ケーブルがつながっているとのことで、基幹の送電ケーブルが焼けたことにより、広範囲の停電が起きたということです。
つまり、基幹送電ケーブルに対するバックアップが準備されていなかったということになります。経済産業省では、一部の送電線でトラブルがあっても、別の送電線を使って送電できる「多重化」を進めるよう各電力会社を指導しています。

電力会社は、巡回パトロールの強化や導電ルートの多様化、無停電工事や最新鋭の発電機車両導入などを実施しています。安心安全な電気を享受できるのも、電力会社の日々の努力のおかげですね。



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