約250年前の産業革命の時代に蒸気の力で走る自動車が発明されて以来、今では世界で12億台(日本では0.7億台)を超えて普及が進んでいます。現在の自動車は、ガソリンやディーゼル燃料を燃料とした自動車が主流ですが、最近ではハイブリッドカーや電気自動車、燃料電池自動車など排気ガスやCO2排出量の少ないエコカーが増えてきました。
電気自動車の発明と衰退
電気自動車は、実はガソリン車よりも古い歴史があります。1873年にはイギリスで電気式四輪トラックが実用化されていて、1899年にはジャメ・コンタント号という電気自動車が当時最速の105.9km/hを達成しています。しかし1886年頃にガソリン自動車が誕生すると、馬力や一度に走れる距離に優れているガソリン自動車・ディーゼル自動車が徐々に主流になり、電気自動車は効率の悪いものとして、次第に衰退していきました。
電気自動車 ジャメ・コンタント号(1899 フランス)
出典:Gazoo.com よくわかる自動車歴史館
20世紀後半になると世界中で自動車が普及し、大気汚染や騒音、二酸化炭素による地球温暖化など環境問題が深刻になりました。燃料を燃やすガソリン自動車やディーゼル自動車と比べ、排気ガスも出さず、静かでクリーンな電気自動車を見直す機運が高まりましたが、バッテリーの値段が高い、遠くまで走れないなどの課題から普及は進みませんでした。しばらくは、電気自動車のようなエコカーには不遇の時代が続きます。
エコカーの普及へ
1997年 トヨタ自動車が世界初のハイブリッド自動車(エンジンに加えて、バッテリーとモーターを装備した自動車)「プリウス」を販売します。ハイブリッド自動車は、これまで無駄にしていたエネルギーをバッテリーに充電してエンジンとモーター両方の力で走るため燃費が良く、地球環境に優しい低公害車「エコカー」として大ヒットしました。
その後、安くて大容量の蓄電池や、小型で強力なモーターなどの技術革新が進み、自動車メーカーは電気自動車に本格的に力を入れるようになりました。日本でも、2006年に三菱「i-MiEV」2010年に日産「リーフ」などが相次いで販売されました。
そして、2014年には、水素を燃料として走る究極のエコカー「燃料電池自動車」が販売を開始しています。
世界初の燃料電池自動車 トヨタ「MIRAI」
2015年時点のエコカー販売台数は、ハイブリッド車が約570万台、電気自動車(プラグインハイブリッド車含む)が約14万台、燃料電池車が約600台で、今後ますますエコカーの普及が期待されています。
保有台数(国内)一覧
※EV:電気自動車・PHV:プラグインハイブリッド自動車・FCV:燃料電池自動車・HEV:ハイブリッド自動車
出典:一般社団法人次世代自動車新興センターwebサイト『EV等保有台数統計』より引用
カギを握る充電スタンド・水素ステーションの普及
エコカーの更なる普及には、充電スタンド・水素ステーションの普及が不可欠です。コンビニや道の駅、ショッピングセンター等を中心に充電スタンド、水素ステーションが少しずつ増えてきました。また、パソコンやスマートフォンから充電スタンド・水素ステーションの場所を簡単に検索できることで利便性も高まっています。
充電スタンド検索サイト「EVsmart」
2016年6月にCHAdeMO(チャデモ)協議会から発表された日本の充電スタンドの数は約2万箇所(うち急速充電スタンドは約6500箇所)で、急速に電気自動車のインフラ整備が進んでいます。一方水素ステーションは、2025年度までに政府目標320箇所としています。
これらのインフラ整備によって、経済産業省は、2030年までに新車販売に占めるエコカー割合を5割から7割にすることを目指しています。(2015年EV・PHV ロードマップ検討会 報告書)
近い将来、ガソリン自動車が珍しくなる日が来るかもしれませんね。
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