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ベランダのハト被害、退散させる解決策とは?

(2018.7.30)


公園でハトにエサをあげる人の周りで、子どもがハトを追いかける。微笑ましい光景ですが、現在、周辺マンションのベランダにハトが入り込み、鳴き声がうるさい、糞で汚れる、巣を作られたなどのトラブルが発生しています。今回は知っているようで知らない、ハトの生態や被害状況、そして具体的な対策を紹介します。

意外に知らないハトの生態

平和のシンボルとして描かれるハトですが、日本にはドバト(カワラバト)と、キジバト(ヤマバト)の主に2種類が生息しています。ドバトは伝書鳩やレース鳩に使われるハトが野生化したもので「クックー」「ポッポ」と鳴き、公園や街でよく見かけます。一方、キジバトは山や雑木林に生息し、鳴き声は「デデッポー」「デデッポーポー」と異なります。

ハトのエサは、植物の種子や穀物、豆類です。カラスは雑食で、人間が出す生活ゴミをエサとして荒らしますが、ハトは動物性のものは好まない傾向にあるため、ゴミ袋を突くようなことはしません。ただし、人間が食べこぼしたスナック菓子やパンくずはエサとなります。本来食べない油分、糖分を含む食糧を食べることで、都市部では肥満したハトが見られるようになりました。

また、都市部に住むハトは、鉄塔や橋脚、ビルやマンションといった人間の生活空間に巣を作ります。ベランダに設置される室外機の裏など三方向が囲まれた場所を好み、縄張り意識や場所への執着心が強く、巣と認識した場所からはなかなか離れません。さらに、ハトは同じ動線で生活するという習性があるので、広範囲を活動する他の鳥とくらべ、行動する場所が固定されがちです。

ハトの天敵はワシやタカ、カラス、猫ですが、都市部で捕食されることは少なく、寿命は10〜20年。また、エサが十分にあれば1年中繁殖が可能で、5〜7回産卵します。鳥獣保護法によって捕獲や殺傷が原則禁止されているので、その数はどんどん増えているようです。

住空間で発生するトラブルとは?

公園やベランダでハトにエサをあげたり、食べ残しが散乱している場所を見つけると、ハトはそこをエサ場だと認識します。前述のように場所の執着心や同じ動線での行動パターンがあるため、仮にハトがマンションのベランダをエサ場と認識した場合、繰り返し飛来するようになり、鳴き声がうるさくて眠れない、糞で汚れるなどの被害が発生します。

「日本鳩対策センター」では、ハトの行動パターンを4段階に区分し、マンションのベランダで発生する被害を次のようにまとめています。

【レベル1】休憩鳩
移動中の羽休めとして、比較的明るい時間にやってきて滞在時間も短い。この段階で未対策の場合、鳩が安全な場所として認知し、次の段階に進みます。
被害:騒音、糞による軽度の汚れ

【レベル2】待機鳩
休憩鳩が安心できる場所と認知すると、エサを待ったり仲間を待つ場所として定住し始めます。さらに、近くに営巣や寝床として安心できる場所がないか確認もしています。
被害:糞の量が増加、商品や洗濯物の汚れ

【レベル3】ねぐら鳩
待機鳩として安心した鳩は、ベランダの室外機の裏など、三方向が囲まれている場所も含めたねぐらとなる安全な場所として認知します。これまでの明るい時間だけではなく、夕方から夜も含めた長時間滞在します。
被害:騒音、大量の糞

【レベル4】巣作り鳩
ねぐら鳩を放置すると多くの場合、巣作り鳩に発展します。これは、巣を作り頻繁に繁殖する鳩が、安全な場所を時間をかけて選定しているのですから仕方ありません。こうなると、一度安全な場所と認識した鳩は、帰巣本能・縄張り意識により、簡単には出て行きません。
被害:騒音、大量の糞

日本鳩対策センターHP「鳩被害・4レベル ベランダの場合」より抜粋

ハトは体重の10分の1ものエサを食べるため、他の鳥に比べ糞の量が多いです。マンションの外壁やベランダにハトの糞があると、美観や清潔感を損うばかりか、糞の中にダニ類やアレルギー原因物質、人に感染する病原菌が含まれていると健康被害が発生することがあります。また、糞に含まれる酸成分が長時間金属に付着することで、金属の腐食を引き起こすこともあります。

具体的な対策方法

ハトの生態を理解した上で、被害が発生する前の予防策として重要なのが、むやみにエサをあげないことです。東京都環境局では、ハトにエサをあげてはいけない理由を次のように説明しています。

 栄養状態がよくなるため、1年に何度も繁殖するようになる
 数が増えすぎると、鳴き声や糞などにより生活環境に被害をもたらす
 被害を受けている場所では、やむを得ずハトを駆除せざるを得なくなり、ハトにとっては不幸な結果となる
 人を怖がらなくなる

公園などで「ハトにエサをあげないで下さい」と書かれた注意書きをよく見かけます。人がエサをあげなくても雑草、種子、芽など自然界のエサを食べることで生きていける生き物なのです。もし、ベランダの手すりや、ベランダの中にハトが飛来するようになったら、早めに次のような対策が必要です。

【糞を除去する】
ハトは自分の糞がある場所を安全と認識するので、ハトが居つかないようにするためにも、糞を見つけたら早めに掃除するようにしましょう。

【忌避剤を使用する】
市販されている忌避剤(視覚、嗅覚、触覚、味覚を刺激することでハトの飛来を防止)のスプレーを散布したり、固形剤やジェル剤をハトが止まる場所に置きます。

【スパイク(剣山)を設置する】
剣山の針部分が柔らかい樹脂製や短い場合は、剣山の上に営巣してしまうこともあります。剣山の効果がない場合は、専門家に相談しましょう。

【ワイヤーを設置する】
ベランダ内には侵入しませんが、手すりにハトがとまっている状態の時は、これ以上ベランダ内部に入らないよう、手すりに防鳥ワイヤーを施工します。より効果を高めるため、電気ショックを与えるワイヤーもあります。

【ネットを設置する】
家を空けることが多く、気づいたらベランダに営巣していた場合、忌避剤やスパイク、ワイヤーでは防ぐことができません。このような場合はネットを張り、ハトが入りこまないようにします。

Amazonなどのサイトで、防ハトグッズ(忌避剤、剣山、ワイヤー、ネットなど)を購入することができます。価格はそれぞれ1,000円台~です。これらを使ってもハトが飛来する場合は、対策グッズの正しい使用法も含め専門家に相談しましょう。

記事中で紹介した「日本鳩対策センター」では、メールで相談に応じています。メールは、写真を添付して詳しい状況を伝えることができるので便利です。気になることがあれば早めに連絡しましょう。また自治体の窓口(東京都は環境局自然環境部)に相談することもできます。

■「日本鳩対策センター」問い合わせ先: https://www.hatotaisaku.jp/contact/

天敵がほとんどいない、場所に対する執着心がある、糞が大量というハトの特徴が、都市空間で共存する人間にとって、思いもよらない被害を引き起こすことがあります。まずはハトにエサをやらない。そして、ベランダに食べ残しがないよう清潔にし、糞があればすぐ掃除するなど早めの対処が大事です。


参照リンク:
日本鳩対策センター
https://www.hatotaisaku.jp/

東京都環境局
http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/nature/animals_plants/birds/please.html

監修>日本鳩対策センター 近藤舞子

photo: Getty Images

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