(2018.11.28)
最近ますます人気となっている発酵食品。自家製の味噌を造ったり、塩麹をお料理に使ったりなど、発酵食品を積極的に取り入れている人が増えています。味噌や醤油、納豆は発酵食品と知っていても、パンやお酒も発酵食品ということをご存じでしたか?
知っているようで知らない発酵ワールドをご紹介するとともに、発酵マイスター、発酵プロフェッショナルの資格をお持ちの料理研究家・いこまゆきこ先生に、発酵食品を使ったレシピを教えていただきます。
発酵と腐敗は何が違うの?
発酵と腐敗は、実は同じ現象です。どちらも微生物の生命活動の一環で「微生物が生きていくために有機物を分解し、新たな物質を生み出すこと」ですが、人間にとって有益か有害かによって区別します。もちろん、有益なのが発酵、有害なのが腐敗です。
日本は昔から発酵が盛んで、日常使われる味噌や醤油などの調味料や、納豆といった発酵食品を中心にした食文化が作られてきました。
発酵食品における三大発酵とは
発酵の中でも、乳酸菌による「乳酸発酵」、酵母菌による「アルコール発酵」、酢酸菌による「酢酸発酵」は、発酵食品における三大発酵と呼ばれています。
「乳酸発酵」の代表的な食品は、ヨーグルトやキムチなどの漬物です。食品が酸性になることで、ほかの菌の繁殖を防ぎ、保存性が高くなります。
「アルコール発酵」は、酵母が嫌気的条件下で糖質を分解して、アルコールと炭酸ガスを生成します。酵母はワイン、ビール、清酒などの酒類のほか、パンの製造に使われています。
「酢酸発酵」とは好気的条件下で、アルコールと糖質から酢酸を生成する発酵です。日本の米酢や海外のワインビネガー、バルサミコ酢が代表例です。
日本の国菌に定められている麹菌
よく聞く麹菌は、ブルーチーズを作るアオカビなどと同じカビの仲間です。2006年、日本醸造学会より「日本人が古くから大切に育み、使用してきた貴重な財産」として国菌に認定される程、日本になじみがある発酵菌です。
麹菌は、麹を作る時に活躍する発酵菌であり、味噌や醤油、日本酒やみりん、酢など日本の代表的な発酵食品を醸造する上で欠かせない大切なものです。
発酵食品の健康効果
発酵食品は、保存性が増すだけではなく、チーズやワインのように発酵によって原料にはないうま味や香りが造り出されるのが特徴です。
発酵により生成される酵素により、タンパク質やデンプンが分解され、消化吸収率がアップ。生成されたビタミン類により、タンパク質・炭水化物・脂質の代謝が良くなります。また食物繊維やオリゴ糖を多く含む味噌や甘酒は、腸内環境の改善も期待できます。
栄養たっぷりの健康レシピ
これからの季節にぴったりのレシピを、発酵マイスター、発酵プロフェッショナルの資格を取得し、日本発酵文化協会の上級認定講師もつとめる、料理研究家・いこまゆきこ先生に紹介していただきました。
数ある発酵食品の中で、いこま先生が選んだのが酒粕。日本酒を造る過程で生じる副産物で、漬物などに使われてきました。副産物なので「カス」とついていますが、実は栄養素が豊富で高い健康効果があるのだとか。
味噌や醤油は摂りすぎると塩分が心配ですが、酒粕の塩分は0%。ビタミンB群や、シミやソバカスの原因となるメラニン色素を抑制するコウジ酸が含まれています。日本酒が美肌によいとされるのと同じですね!
◇里芋のとろとろ粕汁◇
材料(3-4人分)
里芋 2個(皮をむいて約100g)
だし 300ml
豆乳 200ml
酒粕 40g(大さじ2)
塩 小さじ1/4
白たまり 小さじ1(薄口醤油でも可、どちらもない場合は塩で調味)
作り方
1 里芋は皮をむき、食べやすい大きさに切り、さっと洗う。
2 鍋にだしと里芋を入れ火にかけ、里芋がやわらかくなるまで煮る(約8分)。
※吹きこぼれに注意してください。
3 酒粕を水で溶かし、鍋に加え一煮立ちさせる。
4 さらに豆乳を加え、塩と白たまりで味を調える。
※お好みで黒こしょうを加えてもおいしいです。
◇酒粕クラッカー◇
材料(作りやすい量)
酒粕(板粕) 100g
水 大さじ1
薄力粉 50g
塩 小さじ1/2
太白ごま油 大さじ1(他の油でも可)
手粉用薄力粉 適量
作り方
1 酒粕は小さくちぎり、大さじ1の水を加え、やわらかくする。
2 1に薄力粉と塩を加え、よく混ぜる。
3 2に太白ごま油を加え、よく混ぜる。大さじ1程度の水を少しずつ加え、かたさを調える。
4 薄力粉を振ったまな板の上に生地をおき、上からも薄力粉を振り、麺棒で2㎜位の厚さに伸ばす。
5 好きな大きさに切り分ける。
6 180℃に熱したオーブンで、少し焼き目がつくぐらいまで約10分焼く。
冬においしくなる里芋を使った粕汁は、寒い季節に身体があたたまる1品です。酒粕のクラッカーは、おやつやお酒のおつまみにぴったりですね。酒粕は加熱することで、独特の匂いが少なくなりアルコール分が飛ぶので、お子さんやアルコールがダメな方も召し上がっていただけます。
酒粕は、密封できる容器に入れ、冷蔵庫または冷凍庫で保管します。冷蔵庫だと、ゆっくりですが熟成がすすむので、状態を変えたくない場合は冷凍保存がおすすめ。酒粕はスーパーで簡単に手に入るので、ぜひ作ってみてください。
<参考書籍>
「発酵検定公式テキスト」(実業之日本社)
<監修&レシピ提供>
料理研究家 いこまゆきこ
http://ikomayukiko.com/
photo: Getty Images
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最近ますます人気となっている発酵食品。自家製の味噌を造ったり、塩麹をお料理に使ったりなど、発酵食品を積極的に取り入れている人が増えています。味噌や醤油、納豆は発酵食品と知っていても、パンやお酒も発酵食品ということをご存じでしたか?
知っているようで知らない発酵ワールドをご紹介するとともに、発酵マイスター、発酵プロフェッショナルの資格をお持ちの料理研究家・いこまゆきこ先生に、発酵食品を使ったレシピを教えていただきます。
発酵と腐敗は何が違うの?
発酵と腐敗は、実は同じ現象です。どちらも微生物の生命活動の一環で「微生物が生きていくために有機物を分解し、新たな物質を生み出すこと」ですが、人間にとって有益か有害かによって区別します。もちろん、有益なのが発酵、有害なのが腐敗です。
日本は昔から発酵が盛んで、日常使われる味噌や醤油などの調味料や、納豆といった発酵食品を中心にした食文化が作られてきました。
発酵食品における三大発酵とは
発酵の中でも、乳酸菌による「乳酸発酵」、酵母菌による「アルコール発酵」、酢酸菌による「酢酸発酵」は、発酵食品における三大発酵と呼ばれています。
「乳酸発酵」の代表的な食品は、ヨーグルトやキムチなどの漬物です。食品が酸性になることで、ほかの菌の繁殖を防ぎ、保存性が高くなります。
「アルコール発酵」は、酵母が嫌気的条件下で糖質を分解して、アルコールと炭酸ガスを生成します。酵母はワイン、ビール、清酒などの酒類のほか、パンの製造に使われています。
「酢酸発酵」とは好気的条件下で、アルコールと糖質から酢酸を生成する発酵です。日本の米酢や海外のワインビネガー、バルサミコ酢が代表例です。
日本の国菌に定められている麹菌
よく聞く麹菌は、ブルーチーズを作るアオカビなどと同じカビの仲間です。2006年、日本醸造学会より「日本人が古くから大切に育み、使用してきた貴重な財産」として国菌に認定される程、日本になじみがある発酵菌です。
麹菌は、麹を作る時に活躍する発酵菌であり、味噌や醤油、日本酒やみりん、酢など日本の代表的な発酵食品を醸造する上で欠かせない大切なものです。
発酵食品の健康効果
発酵食品は、保存性が増すだけではなく、チーズやワインのように発酵によって原料にはないうま味や香りが造り出されるのが特徴です。
発酵により生成される酵素により、タンパク質やデンプンが分解され、消化吸収率がアップ。生成されたビタミン類により、タンパク質・炭水化物・脂質の代謝が良くなります。また食物繊維やオリゴ糖を多く含む味噌や甘酒は、腸内環境の改善も期待できます。
栄養たっぷりの健康レシピ
これからの季節にぴったりのレシピを、発酵マイスター、発酵プロフェッショナルの資格を取得し、日本発酵文化協会の上級認定講師もつとめる、料理研究家・いこまゆきこ先生に紹介していただきました。
数ある発酵食品の中で、いこま先生が選んだのが酒粕。日本酒を造る過程で生じる副産物で、漬物などに使われてきました。副産物なので「カス」とついていますが、実は栄養素が豊富で高い健康効果があるのだとか。
味噌や醤油は摂りすぎると塩分が心配ですが、酒粕の塩分は0%。ビタミンB群や、シミやソバカスの原因となるメラニン色素を抑制するコウジ酸が含まれています。日本酒が美肌によいとされるのと同じですね!
◇里芋のとろとろ粕汁◇
材料(3-4人分)
里芋 2個(皮をむいて約100g)
だし 300ml
豆乳 200ml
酒粕 40g(大さじ2)
塩 小さじ1/4
白たまり 小さじ1(薄口醤油でも可、どちらもない場合は塩で調味)
作り方
1 里芋は皮をむき、食べやすい大きさに切り、さっと洗う。
2 鍋にだしと里芋を入れ火にかけ、里芋がやわらかくなるまで煮る(約8分)。
※吹きこぼれに注意してください。
3 酒粕を水で溶かし、鍋に加え一煮立ちさせる。
4 さらに豆乳を加え、塩と白たまりで味を調える。
※お好みで黒こしょうを加えてもおいしいです。
◇酒粕クラッカー◇
材料(作りやすい量)
酒粕(板粕) 100g
水 大さじ1
薄力粉 50g
塩 小さじ1/2
太白ごま油 大さじ1(他の油でも可)
手粉用薄力粉 適量
作り方
1 酒粕は小さくちぎり、大さじ1の水を加え、やわらかくする。
2 1に薄力粉と塩を加え、よく混ぜる。
3 2に太白ごま油を加え、よく混ぜる。大さじ1程度の水を少しずつ加え、かたさを調える。
4 薄力粉を振ったまな板の上に生地をおき、上からも薄力粉を振り、麺棒で2㎜位の厚さに伸ばす。
5 好きな大きさに切り分ける。
6 180℃に熱したオーブンで、少し焼き目がつくぐらいまで約10分焼く。
冬においしくなる里芋を使った粕汁は、寒い季節に身体があたたまる1品です。酒粕のクラッカーは、おやつやお酒のおつまみにぴったりですね。酒粕は加熱することで、独特の匂いが少なくなりアルコール分が飛ぶので、お子さんやアルコールがダメな方も召し上がっていただけます。
酒粕は、密封できる容器に入れ、冷蔵庫または冷凍庫で保管します。冷蔵庫だと、ゆっくりですが熟成がすすむので、状態を変えたくない場合は冷凍保存がおすすめ。酒粕はスーパーで簡単に手に入るので、ぜひ作ってみてください。
<参考書籍>
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料理研究家 いこまゆきこ
http://ikomayukiko.com/
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