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部屋をスッキリ、広々暮らすトランクルームの使い方

(2020.9.17)

新型コロナウイルス感染症対策による外出自粛の影響で、家で過ごす時間が長くなりました。部屋の片付けや、快適な空間づくりに意識が向くようになり「もう少し収納スペースがあれば良いのに…」と思った方は多いのではないでしょうか。つい、マンション内で全てを片付けようとしますが、マンションの外にあるトランクルームを利用するという方法があります。

ゴルフセットなどのスポーツ用品や、キャンプ用品などのアウトドアグッズ、扇風機のような季節の家電は、常にマンションに置いておく必要はありません。使いたい時にあれば良い物をマンションとは別の場所に片付けることができれば、その分だけ収納スペースができます。さらに最近は、災害に備える場所としてトランクルームを使うのだとか。トランクルームを活用した住まいのあり方について、一級建築士の井上恵子さんに聞きました。


利用者が増えているトランクルームとは?
トランクルームとは、倉庫業者などが運営しているレンタル収納スペースです。このような収納サービスの国内市場規模は増加傾向にあり、2020年度に18年度比で約1割増の829億円規模になると予想されています。家に物置がない、収納場所が少ないという場合に、使用頻度が少ない物を預けることで部屋を広く活用できるので人気となっています。

例えば、クローゼットにしまってあるこれらの物を、トランクルームに収納できたら部屋がスッキリしませんか?

・シーズン物の衣類
冬物のコート、ブーツ、着物、パーティー用ドレス
・趣味で使う道具やレジャー用品
ゴルフセット、スノーボード、スキー、キャンプなどのアウトドアグッズ
・イベント用グッズやシーズン家電
クリスマスツリー、ハロウィンなどの飾り、扇風機、ヒーター
・コレクション品や思い出の品
書籍や家族のアルバム、子どもの工作品


その他、PCや家電の空き箱を捨てずに置いていませんか? このような使用しないのに捨てられない物をトランクスペースに収納できれば、かなりのスペースを作り出すことができます。空いた場所に日常使う物を片付ければ、見える場所に置く物が少なくなり、部屋がスッキリします。

井上さんによれば、部屋がスッキリすることで、暮らしが安全になるそう。
「お部屋がスッキリすることで、シニア層の方々の家庭内事故の危険性を減らすことができます。実は、高齢者の方が救急搬送された理由で最も多いのは「転倒・転落」で、それらは家の中の居室で発生しています。つまり、床などに置かれた荷物につまずいたり、片付けられていない新聞紙などを踏んで滑ったりして怪我をしているのです」
荷物をスッキリ片付けられれば、このような事故が起こる危険性も低くなります。また、新型コロナウィルスの影響で、在宅勤務の機会が増えた方も多いと思います。「落ち着いて仕事ができるワークスペースを捻出するためにも、すぐ使わない物はいったん預けて空間を有効活用するという考え方もあると思います」

安全のためやワークスペースを確保するためにも活用したいトランクルーム。一言でトランクルームといっても、いくつかタイプがあり、何を預けたいのか、どのように活用したいのかによって、タイプを見極める必要があります。
トランクルームは荷物の管理責任が利用者にある「屋内ビルインタイプ」「屋外コンテナタイプ」と、荷物の管理責任が保管会社にある「ネット宅配型」という3つのタイプがあります。

<屋内ビルインタイプ>
ビルの中に収納スペースがあるタイプ。施設によっては物品の劣化を防ぐために空調設備を取り入れ、常に最適な温度と湿度に保ったり、24時間防犯カメラを取り入れるなどセキュリティ体制を整えています。利用者は駐車場から台車などで荷物を運び、契約した収納スペースに入れます。PCなどの精密機器や着物や毛皮など繊細な物の保管に適しています。クローゼットとして使う方のために着替えスペースがある場所もあります。

<屋外コンテナタイプ>
空き地などにコンテナが置いてあるタイプ。多くは車でコンテナの入り口まで乗りつけ、そのまま運び入れることができます。空調システムがないことが多く、気候の変化の影響を直接受けるので、高温、高湿度で劣化してしまう場合もあります。家の建て替え時や、家具の一時的な置き場所におすすめです。

<ネット宅配タイプ>
WEB・メール・電話で申し込み、トランクルーム会社が提携する配送会社に集荷依頼をかけ、自宅から荷物を預けることができます。専用の段ボール1箱から預けられるので、気軽に利用できます。


自分にあうトランクルームの選び方
トランクルームを使うメリットは、必要なスペースを必要な期間だけ使うことで、広い家に引っ越す場合と比べて費用負担が少なく柔軟に対応できることです。トランクルームの大きさや立地、サービス内容により様々なタイプがあるので、何を収納したいか、トランクルームに行く頻度はどれくらいか、場所は家から近い方が良いか、料金はどれくらいかを考え、自分にあうトランクルームを選びたいですね。

<トランクルームを選ぶ時の3つのポイント>
1. 保管する物により、必要サイズや保管環境をチェックする
2. クローゼットとして使うなど保管した物の使用頻度が高い時は、家や職場に近い場所を探す
3. 月額料金だけで判断せず、初期費用などトータル費用を確認する

トランクルームは、収納スペースや立地、エアコン、エレベーターの有無などにより料金が異なります。

<東京都内の相場>
・屋内ビルインタイプ 一畳で月額15,000円前後
・屋外コンテナタイプ 一畳で月額7,000円前後

一畳は、マンションの一般的なトイレの広さ(奥行き約120〜150cm、幅約90〜100cm、高さ約200cm)のイメージ。このスペースに入るかどうかを考えれば良いでしょう。

手軽なイメージがあるネット宅配タイプは、専用ボックス(500円前後)を購入し、集荷を依頼します。書籍やアルバムのような重い物でも、専用ボックスに入る量であれば自分で運ぶ手間が省けます。しかし、月額保管料の他に、ボックスを取り出す際に取り出し手数料が必要になる場合があります。

屋内ビルインタイプ、屋外コンテナタイプで月額料金が安く設定されていても、契約時の手数料や保証金、セキュリティ費用が別途かかる場合があります。ご自身の使用状況に合わせてトータル費用を見積ることが大事です。また大切な物を保管する場合は、セキュリティや結露、防カビ対策など、契約前に必ず実際の保管環境を自分の目で確認するようにしましょう。

ポイントを踏まえた上で、井上さんに建築士の視点でトランクルームを選ぶ際の注意点を教えていただきました。
「大切な荷物を預けるのであれば、大きな地震に耐える頑丈な構造であること、津波、水害などの自然災害の影響を受けにくい場所にあること、崖や斜面地、川の近くは避けることも大事です。立地条件はハザードマップで確認しておきましょう」
また、避難グッズなどを保管する場合は、家からすぐに取りに行ける距離であること、家からトランクルームまで安全にアクセスできること(道が広い、両脇に古い家屋が密集していない、古いコンクリート塀などがない、など)も確認しておくと安心です。


防災に備えた活用法に注目


最近注目されているトランクルームの使い方として、防災グッズや非常用飲料水など災害時の備蓄庫としての活用があります。家族全員分を用意する必要がある防災セットですが、マンションの収納スペースは限られるため、なかなか十分な備えをすることが難しいのではないでしょうか。

「最近のマンションでは、住民用の防災倉庫を備えているケースも多くなりましたが、実際どのような物が保管されているのか確認しておきましょう。家族の年齢や体調などご家庭により必要な物が異なりますので、足りない分はそれぞれ整備・保管しておくことが大事です。置き場に困る物があれば、レンタルスペースを活用するのも一つの良い方法だと思います」(井上さん)

マンションは、鉄筋コンクリート造が多いですが、特に1981年6月以降の新耐震基準のものであれば、基本的に災害には強いそうです。中でも柱と梁を使わずに壁を多く設ける、壁式構造のマンションは地震にも強いと井上さん。とはいえ、万が一に備えておくのは大事なことです。
「災害時の備蓄品のほかに、すぐに使う必要のない書類や普段は使用していないけど大切な思い出の品などは、地震・火災・水害などの自然災害に強く、防犯性も優れた安全なトランクルームに預けておくことでリスク分散につながります」

家だけでなく、トランクルームにも水や衣類、布団など必要と思う物を保管しておけば、住居はスッキリ、さらにいざという時の安心材料になるのだそう。

トランクルームを上手に活用するには、使用頻度が少ないのに家の収納スペースを占めている物を選別し、それに適した保管場所を見つけることです。使いたくなった時にすぐ取り出せるためには家の近くが便利ですが、料金についてもしっかり検討したいところです。保管した物を使う場面を考え、誰がどのように取りに行くのかを具体的にイメージすることで、ライフスタイルにあうトランクルームを選ぶことができます。

収納する場所がないからと購入をあきらめていたアウドドアグッズや趣味で使いたい物も、トランクルームというスペースを持つことで手に入れることが可能になります。マンションの外の収納スペースを活用することで、暮らしに必要な物を所有しながら、すっきりした住空間に暮らせるという新しいライフスタイルを楽しむことができますよ!


<監修>

井上恵子
一級建築士/インテリアプランナー 住まいのアトリエ 井上一級建築士事務所 所長
総合建設会社でマンションの設計・性能評価などを担当したのち2004年に独立。独立後は「安心・安全・快適な住まい」をテーマにwebサイトでの記事執筆、新聞へのコラム掲載、マンション購入セミナーの講師として活躍。
住まいのアトリエ 井上一級建築士事務所
http://atelier-sumai.jp/


photo: Getty Images


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