検索フォーム

現在地

こまめに抜けばいいわけではない!? 機器自体の節電や省エネ機能を活用してSDGsに貢献

(2021.9.24)

テレビ、洗濯機、冷蔵庫が「三種の神器」と呼ばれた時代から半世紀が経ち、今や、住まいの各部屋にエアコン、料理は電気調理器というように、生活の至るところでさまざまな家電製品が使われています。これらの家電製品は使用時に電力が使われるだけではなく、コンセントにつないでいるだけで待機電力など電力が消費されています。

電力の使用、消費を抑えるためには、どうすればいいのでしょうか。おうち時間が長くなっているタイミングで、家にある家電製品を例に紹介します。


電源プラグをつなぐだけで発生する待機電力とは?
家電製品のスイッチを切っていても、時計などが表示されているのは電力が使われているから。このように家電製品そのものを使っていないのに消費される電力を「待機時消費電力(待機電力)」といい、電源プラグを差し込んだ状態であれば発生しています。

●待機電力の発生例
指示待ち状態:リモコンによる指示待ちや、機能を働かせるための待機
機能維持:メモリ、内蔵時計、モニター表示

ただし最近は、一定時間使用しないと自動的に主電源が切れるオートOFF機能のような省エネ機能を備えた製品が増えてきているため、待機時消費電力は年々減少傾向にあります。そのようなことから待機電力がかからなくなっているものが多いです。しかしながら、AIやセンサーなどを搭載し多機能化することで待機電力が発生している場合もあり、製品ごとにチェックすることが大切です。

待機電力の多い意外な製品とは?

在宅勤務が続くことで家庭でもパソコンやプリンター、ルーターなどのネットワーク機器が充実してきました。さらに生活を快適にするための空気清浄機や温水洗浄便座、娯楽用のゲーム機など…コンセントが不足するほどです。

資源エネルギー庁の報告書*によると、家庭の全待機電力量を100%とした場合、
・ガス温水器(19%)
・テレビ(10%)
・冷暖房兼用エアコン(8%)
が、待機電力の多い製品と発表されています。

現在、待機電力が高いとされるものは、給湯機のように機器の保守などが目的でゼロにできないものが主です。
これまで、待機電力を抑えるためにはコンセントから電源プラグを抜くことや、主電源をオフにするという方法が推奨されてきましたが、これは全ての製品に向いている方法とはいえません。おすすめできるものとできないものがあることを知っておきましょう。

*(待機時消費電力調査)報告書概要
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/data/taikiji_2012.pdf

省エネ機能の活用と使用する時間帯がポイント
電源プラグを抜く節電方法は、日頃主電源を入れることが多いテレビやエアコンには向いていません。また温水洗浄便座など、常に電源プラグにつないでいる家電製品も少なくありません。しかし、最近の家電製品には、画面の明るさを落として消費電力を削減する機能や液晶表示OFF機能など、最新の省エネ機能が備わっていることが多く、上手に利用することが節電の近道といえるでしょう。

・テレビ
最近のテレビは、主電源を切ると番組表の自動取得機能が使えなくなるため、メーカーも主電源を切ることは推奨していません。
テレビに限らず最近の家電製品の多くは、主電源をつけたままの状態でも待機電力が0.1ワット程度の製品がほとんど(電気代にして年間20~30円程度)です。

・エアコン
エアコンは、使用前後で電源プラグの抜き差しをすると故障の原因になることがあるため、原則コンセントの抜き差しはしない方がいいです。
何か月も使わないような場合は、電源プラグを抜いておくのも対策の一つとなるので、年間を通じてメリハリある対策を講じましょう。

・温水洗浄便座
待機電力が多い製品には入っていませんが、温水洗浄便座のようにずっとコンセントにつないでいる家電の電力も気になります。監修をしていただいた和田さんによれば、
「最近の温水洗浄便座は、タイマー機能がついていたり、使用頻度や時間を記憶して、使わない時間帯に暖房便座などの温度を自動で下げたりする機能が付いているものが多いです。
そのような製品であれば、機能を活用することで、待機電力は抑えられます。そのような機能がない場合は、市販のコンセントタイマーを取り付けることで、使わない時間はOFFにする、極力便座や温水の温度を低くするのがおすすめです」。

このように、省エネ機能を活用することが、電力の使用を抑えることになります。
電力の消費だけでなく、節電を考えるなら、家電製品を使用する時間を考えることも大事。電力の需要が高まる13~16時のピーク時間帯の使用電力を抑えることがポイントです。夜間や早朝に電気を使用するメリットは、電気代(市場価格)が安価になること。世帯ごとでは金額的にも電力量としても大きくはありません。しかし世帯ごとに配慮することで日本のエネルギー消費量を抑えることができます。

エネルギーを守るための工夫

エアコンや冷蔵庫など、いまや日々の暮らしに欠かせない家電製品。しかしそれを動かすためには、電気というエネルギーが必要です。世界で5番目にエネルギーを消費している消費大国である日本*。しかし、エネルギー資源のほとんどは海外に頼っていて、自給率はわずか10%しかありません。

*経済産業省資源エネルギー庁「エネルギー白書2021」
https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2021/pdf/

つまり、日本でエネルギーを大事に使うことは、地球のエネルギーを抑えることにもつながります。無駄なエネルギーを抑えるために、取り入れたい工夫には何があるのでしょうか。

・スイッチ付電源タップ
その都度電源プラグを抜くのが面倒な時に、おすすめ。コンセント差込口にスイッチがついているので、そのスイッチを切るだけで簡単にコンセントから抜いた状態にできます。例えば、OA機器のように家電製品が多いエリアで複数の差込口がついたタップを使えば、スイッチのオンオフが同時にでき、効率よく省エネ対策ができます。

・エアコンの使い方
「エアコンはつけっぱなしの方が、電気代がかからない」という話を耳にしたことはありませんか? 和田さんによると「エアコンは、室温と設定温度の差で消費電力が変わってくる」ので、それを理解して使用するのがよいそうです。

「確かに室温が設定温度になるまで大きな電力がかかります。例えば、夏の日中にエアコンを切るとすぐに室温が上昇してしまうので、そのような環境でオンオフを繰り返すと余計な電力がかかってしまいます。逆に室温と設定温度の差がない日は、こまめにオンオフしてもそれほど大きな電力はかかりません」。
季節や時間帯によって柔軟に判断する必要がありそうですね。

・室外機の日除け対策
エアコンの室外機に直射日光が当たっている場合は、日除けになるような室外機カバーを取り付けることで、節電の効果があります。例えば、南向きのベランダに室外機置場がある場合、室外機に日除けを設置すると良いでしょう。

日除けを設置する場合は、室外機の風の吹き出し口を塞いでいないか要確認。塞いでしまうと節電が逆効果になります。

エアコンの効果に関しては、一般的にマンションは気密性が高く、空調が効きやすいですが、和田さんによれば、「室温に大きく影響を与えるのは窓。アナログな対策方法ですが、節電のためのポイントは、夏は日射を防ぐ、冬は窓からの冷気を防ぐこと。
夏の場合は、窓の外側にすだれやサンシェードなどを用いる。冬は窓の内側に厚手のカーテンをかける」ことがエアコンの効果を高め、省エネにもつながるとのこと。

以前は、電源プラグを抜くことで省エネにつながる待機電力を抑えられていましたが、現在は、家電製品自体に省エネ機能が備わっているものが増えました。これから家電製品を選ぶ際は、省エネ機能に注目し、上手に利用することも、SDGsがゴールとして掲げる気候変動などを軽減できる方法でしょう。

身近な家電製品の節電や省エネを見直し、自分が暮らす国のエネルギー状況に興味を持つという知的好奇心は、この先のエネルギーについて考えるきっかけになるはずです。


<監修>

和田由貴
節約アドバイザー。講演、執筆、テレビ出演等をこなす傍ら、現役の節約主婦兼2児の母として日々節約生活を実践。「節約は無理をしないで楽しく!」をモットーに、日常生活に密着したスマートで賢い節約生活を提案。現在は環境省3R推進マイスター等、環境関連の活動にも多数携わっている。


画像:Getty Images

関連記事


電気代削減だけじゃない SDGs視点で選ぶ家電のメリットは?
秋の夜長でも早く寝室へ行きたくなる 眠る前のひとときが楽しみになるグッズ
コラム一覧はこちら

でんき案内板 おすすめメニュー


電気料金明細の確認はこちら
電気の見える化グラフはこちら