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『収育』って? “収納王子コジマジック”に聞く、片付け上手になるコツ

(2022.2.24)


部屋を整えるためには、家族みんなが片付けに参加することが理想です。とくに子どもは片付けに苦手意識や面倒臭さを感じる傾向があります。しかし、片付けは「モノごとの優先順位をつけて、やるべきことを実行する力を養える」と語るコジマジックさん。コジマジックさんは、松竹芸能に所属するタレントとして約30年の芸歴を積み、『収納検定』を開催する一般社団法人日本収納検定協会の代表理事であり、整理収納サービスを行うケイスタイル株式会社の代表取締役でもあります。収納と『育児・教育・育成』を組み合わせた『収育®』という考え方を広め、快適で幸せに生活できる仕組みづくりを目指されています。今回はコジマジックさんに『収育®』の考え方や、片付けのコツを教えていただきました。

(※この取材はオンライン会議ツールを使用し、リモートでインタビューしたものです)


収納を通じて学ぶ「収育®」とは?
コジマジックさんが片付けに目覚めたのは幼少期。お兄さんが片付けが苦手でご両親に叱られている様子を見て、「褒められたい!」と片付けをしているうちに好きになったのだとか。芸人として活動する傍ら、100円グッズを使った収納テクニックや片付けのコツを紹介していたところ「笑いのある片付け」が多くの人々を魅了し、“収納王子コジマジック”として活躍の場が広がります。

コジマジックさんが収納を通じて学び育む『収育®』の必要性を感じたのは、お子さんの誕生がきっかけだそうです。

「子どもにどうやって片付けるかを教えていないのに、「片付けなさい」と言ってもできる訳がない。教える側の大人も片付けを知らないので教えられない。まずは大人が片付けを学び、子どもでも片付けられる仕組みを作ってあげることが大切。『収育®』は子どもだけではなく、大人にも必要なのです!」


生活と密接に関係する片付け。しかし、どのような方法で片づければいいのか体系的に学ぶ機会はなかなかありません。そのような状況を踏まえ、コジマジックさんは『収育®』を理念とする『一般社団法人日本収納検定協会』を設立。さらに片付けを楽しむ検定『収検®(収納検定)』を開催するなど、食育のように『収育®』を普及させたいと力を注いでいます。


片付けには正しい順番がある
いくら片付けてもすぐに散らかってしまう、収納する場所がないなど片付けの悩みはつきないという声も。上手に片付けるにはコツがあります。自己流でやっている方の落とし穴や、片付けの正しい順番についてコジマジックさんが教えてくれました。

「皆さんは『しまう』ことから始めてしまうから、失敗してしまいます。自分が持っているモノを全部出すことから始めてみてください。大切なのは『出す』『分ける』『しまう』の順番です」

●片付けの順番
1. 出す
大きめのシートや紙などを広げて、引き出しなどそのスペースに入っているモノをすべて出します。出すことで、入っていたモノの総量がわかり、モノの重複などに気づけます。
2. 分ける
出したモノを『使っているモノ』と『使っていないモノ』で分けます。過去1年に使ったかどうか?という実績で分けるなど基準を明確にすることがポイントです。
3. しまう
「よく使うモノは引き出しの手前に置く」など使いやすいように工夫をして定位置を決めて収納します。明らかに使っていないモノは人に譲るなどして手放す。手放すかどうか迷うモノは『一時保管箱』へ。納得しないまま無理やり処分すると“リバウンド”の原因に。
※『収育ガイドブック(一般社団法人日本収納検定協会)』より

部屋に散乱しているモノをしまうのではなく、全部を出して分類するステップが必要なのです。しかし、必要なモノと不要なモノに『分ける』のは難しそう。

「必要なモノ、不要なモノと考えると、ほとんどが必要なモノになってしまいます(笑)。手放すとなった途端に、もったいないという気持ちになり、とっておこうとします。そこで使っているか、使っていないかという客観的な事実で分けることが大事です」

年齢を重ねるとモノに対する思い入れが強くなります。結婚式の引き出物でいただいた食器セットや、セールで買った洋服など手放せないモノばかりになりますが、コジマジックさんは「いつか使うは一生使いません」とピシリ。今シーズン着なかった洋服は、次のシーズンで着ることはほとんどないのだとか。1年の間に使ったか使っていないかで、しっかり見極めたいですね。

『しまう』について、片付けが苦手な人は使うモノを出して、使わないモノをしまうので、俯瞰した時に全てが必要と勘違いしてしまいがち。コジマジックさんの方法は「使うモノをしまい、使わないモノはまとめて玄関などの目立つ場所に出す」。こうすることで玄関を通るたびにそのモノが目に入り、使わないモノは必要な人にあげたり、寄付をするなど積極的に手放す方法を考えるようになるそうです。

どこから片付けるかも大切です。「よし片付けよう!」と気合を入れると、押入れや収納スペースなど大掛かりに始めがちですが、作業が大変な上、使用頻度が少ない場所は「片付けて良かった」と感じにくいのだとか。まずは「一番よく使う場所の引き出し」など限られたスペースから始めるのがおすすめ。例えば、料理が好きな方はキッチン、洋服が好きな方はクローゼットから。まずはよく使う場所がきれいに整うことで、継続して片付けをすることにつながります。

子どもを片付け上手にする言葉がけ


大人は片付けの基本である『出す』『分ける』『しまう』のステップを理解することができますが、子どもには難しいです。特に、使っているモノと使っていないモノを『分ける』ことの判断はなかなかできません。子どもには『出したら戻す』の2ステップで伝えると良いでしょう。

コジマジックさんのご家庭ではどのように子どもに教えたのでしょうか。
「子どもは、片付けなさいと親が叱るとモノを隠そうとしますし、捨てるおもちゃは?と聞くと、捨てるおもちゃなんてない!となります。子どもに対しては言葉選びが本当に大事。息子には「パパに“好きなおもちゃベスト10”を教えて〜」と言って、息子の大切なおもちゃが何なのかを判断しています」

『収育®』を始めるのはいつ頃が良いのでしょうか。
コジマジックさんによれば、『収育®』は子どもが生まれる前から始まるそうです。

「ベビー服やベビー用品が増え、ベビーベッドの置き場も必要になります。子どもと一緒に快適に暮らすための部屋づくりの準備をしておきましょう。
子どもが1~2歳になった頃には、片付けを意識しながら遊ばせることも大切。
3歳~未就学児の間は、紙芝居などを使って片付けを伝えるという方法もあります」

絵本の読み聞かせをするように、『出したら戻す』ということを教えてあげると子どもも理解しやすそうですね。
出したモノをただ戻すだけでなく、『分ける』場合はおもちゃにカラーシールを貼って、同じ色のところに『戻す』ように伝えることで、ゲーム感覚で片付けのステップが身につきます。

小学校高学年~中学生・高校生になったら、分けることやしまうことに対して、ある程度任せて見守りましょう。

兄弟姉妹でも子どもによって片付けの意識は異なります。それぞれの子どもに合ったやり方で伝えられると良いでしょう。また、片付けを通じて『判断力』を鍛えることは、子どもの自立心を養います。さらに片付けが上手にできたという成功体験は、子どもの自己肯定感を高めることにもつながります。

マンション住まいで収納を上手にするコツ


これまで2,000軒以上の家庭で片付けをしてきたコジマジックさんに、マンションならではの収納についてアドバイスをいただきました。

「マンションは限られたスペースなので、天井から床まで有効に活用する壁面収納を取り入れることがおすすめです。壁面を工夫すればインテリアとして見せることもできますし、壁面用の収納グッズも充実してきているのでいろいろなアレンジを楽しめます」

早速デットスペースを収納スペースにしてみようと考えてしまいますが「そもそも使っていない場所は収納スペースとしても使いにくい」ので要注意。収納スペースを考える時は「どこで使うか」を考えて、使う場所の近くに収納場所を設けるのが鉄則。

例えば、必需品となったマスクのストックは薬箱の周辺ではなく、使用シーンに近い玄関に収納した方が便利。ルームウェアや下着類は寝室のウィークインクローゼットなどに収納するのではなく、洗面室に収納すると動線がスムーズになります。


部屋がきれいになることによる3つのメリット


片付けをすることで部屋がきれいになるばかりでなく、『時間』『お金』『心』という3つのお得があることを、コジマジックさんが具体的に教えてくれました。

「人生最大の無駄づかいは探し物をする時間です。大した時間ではないと思っているかもしれませんが、1日10分間の探し物をしていたら1年に3,650分、約61時間になります。旅行に行きたくても時間がないという方は、探し物の時間をなくすだけで2泊3日の旅行に行く時間ができてしまいます」

自分が持っているモノを把握することで、二度買いや無駄買いがなくなり、お金をセーブできる他、モノの保管とお金についてこんな数字も。

「床面積の約20%にモノが置かれているというデータがあります。家賃が月20万円ならモノのスペースに4万円、年間48万円が支払われています。使わないモノを置くと実はお金がかかります。必要なモノや好きなモノに保管料がかかるのは仕方ないですが、使わないモノにお金を払うのはもったいないですよね」

すっきり片付いた部屋で快適に過ごすことで得られるのが心のお得。イライラしないことで、心にゆとりができ「思いやり」ができる余裕が生まれるなど、片付けがもたらすメリットは大きいですね。


子どもの成長とともに学習グッズや洋服などが増えたり、ライフスタイルが変化していきます。片付けを継続させるには、節目節目で収納場所を見直し、家族で話し合うことが大事。コジマジックさんは「片付けは家族の大切なコミュニケーションツール」と言います。片付けを通して子どもの成長を感じ、お互いを理解する時間と捉えることができれば、片付けに対する考え方が変わりそうです。空間も気持ちも整う片付けを行っていきたいですね。


<取材・監修>

収納王子コジマジック(一般社団法人日本収納検定協会 代表理事 小島弘章)
片づけ・収納・住まいに関する確かな知識と実績を持つプロフェッショナルでありながら、松竹芸能で約30年の芸歴を積んだ男性ライフスタイル系タレントのパイオニア。整理収納に”笑い”を取り入れたセミナーが話題となり、年間講演依頼数は200本以上、著書・監修本は累計40万部を超える。“収育”を理念として掲げた一般社団法人日本収納検定協会を設立し、お片づけを楽しむ「収納検定」をスタートさせる。
【ホームページ】
一般社団法人日本収納検定協会
ケイスタイル株式会社
【Instagram】@kojimagic2009
【TikTok】@kojimagic
【Twitter】@ok_kojima

画像:Getty Images
   日本収納検定協会様ご提供


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