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日々の食生活を時短&おいしくしてくれる 缶詰博士おすすめの缶詰を紹介!

(2022.5.27)

災害時にも役立つ保存食として缶詰をストックしている家庭は多いのではないでしょうか。缶詰はそのまま食べてもおいしいだけでなく、日々の食事を簡単にアレンジすることもできます。加工技術が高くなったことで、さまざまな食材を使ったクオリティが高い「グルメ缶詰」なるものも登場しているそうです。今回は、そんなおすすめ缶詰情報を缶詰博士・黒川勇人さんに教えていただきます。食べておきたい、食べてみたい缶詰にきっと出会えるはず。


知れば知るほど奥深い缶詰の魅力
缶詰の歴史をひもとくと、フランス革命の時代にナポレオンが海外へ遠征するために、軍用食糧貯蔵用として研究した18世紀終わりにさかのぼります。真空詰めにした食べ物を加熱殺菌すると長期保存できることがわかり、ガラスびんが保存容器として使われていました。後にブリキ缶に密封する技術が開発されると、携帯のしやすさから缶詰が主流となりました。今では、世界中でさまざまな食材の缶詰が製造されるようになっています。

缶詰の魅力を「フタを開けるだけで世界中の料理が食べられる」と語る黒川さんは、世界50カ国以上の缶詰を試食し、実に2万個もの缶詰を味わってきました。日常の食事でも、さば缶、いわし缶、ツナ缶、やきとり缶、コンビーフ、ポークランチョンミートなどの缶詰を愛用しているそうです。


味だけではない選び方

黒川さんが缶詰を選ぶ基準としているのが次の3つです。

・味がおいしいこと
・独創性と社会的意義
・パッケージのデザイン

おいしさで太鼓判をおすのが、木の屋石巻水産の「金華さば醤油煮」や明治屋の「国産真いわしと野菜のトマト煮」など、定番の食材でありながらこだわりの調理がなされているもの。シンプルな缶詰はそのまま食べるだけではなく、調味料や薬味などを“ちょい足し“して自分ごのみの味にする楽しみ方もあります。

黒川さんのアレンジをいくつかご紹介します。

さば水煮缶:オリーブ油としょう油、黒こしょうをかける
さば味噌煮:ラー油、白炒りごまをかける
いわし醤油味:根菜とともに炊き込みごはんにする
ポークランチョンミート:ゴーヤ、豆腐と炒めてチャンプルーに
コンビーフ:みじん切り玉ねぎ、ケッパー、パセリと混ぜてタルタルステーキ風に

缶詰は調理済なので、そのままサラダのトッピングにしたり、ごはんや麺に加えたり簡単に使えてとても便利。「肉や魚がない時に、食材として代用している」など、冷蔵庫に食材がない日でも、手早くバランスがとれたおいしい食事ができます。

黒川さんは缶詰を選ぶポイントに「独創性、社会的意義」や「デザイン」をあげていますが、実際、味だけではなく災害や飢餓などの社会問題を解決するために誕生した缶詰や今までにない食材を缶詰にしたもの、インテリアになるカラフルな色合いの商品が多数登場しています。

独創性、社会的意義の観点から選んだものには、東日本大震災で避難生活を経験された方が、「スイーツを食べたかった…」と話したことがきっかけとなり開発されたトーヨーフーズの「どこでもスイーツ缶シリーズ」や、世界の飢餓に苦しむ地域への義援物資として届けられるパン・アキモトのパンの缶詰「救缶鳥」を挙げていただきました。また、おおち山くじらの「イノシシ肉シリーズ」は、田畑を荒らす野生の猪を「害獣」として駆除するのではなく、適切に処理することでおいしく生命をいただきたいという想いがこめられているそうです。

デザインに富んだパッケージの代表は、マルハニチロの「ラ・カンティーヌ鯖フィレ」。楕円形の白い缶にブルーの装飾がほどこされ、美しい陶器のような佇まい。そのまま食卓においてもおしゃれです。コロナ禍で海外旅行に行きにくい日々が続いていますが、カラフルなポルトガルやスペインの缶詰をキッチンに置いてみるのはいかがでしょうか?異国の雰囲気を感じることができますよ。


厳選!ストックしておきたい缶詰

バリエーションに富む缶詰事情を知ると、どれを買ったらよいか迷ってしまいそう。そこで、黒川さんに家庭でストックしておくと便利な缶詰をピックアップしてもらいました。

・パン・アキモトの「PANCANシリーズ」
阪神淡路大震災をきっかけに開発された防災備蓄パンで、最長37ヶ月の保存が可能です。開けたらすぐに食べられるので、アウトドアでも大活躍。プレーンやブルーベリー、抹茶味などフレーバーが豊富。

・伊藤食品の「美味しいリゾットシリーズ」
国産玄米を使用したリゾットで、トマト、きのこ、牡蠣味などがあります。ほっこりする優しい味。小腹が空いたときや、夜食にもおすすめです。

・高木商店の「ねぎ鯖シリーズ」
数あるさば缶の中から選ばれた「ねぎ鯖シリーズ」。脂がのった大型の真さばに、農家直送のねぎの風味が香る一品。醤油だれ、味噌だれ、塩だれの3シリーズは、どれもが厳選された鯖の美味しさを満喫できます。

・吉澤畜産の「缶バーグ」
銀座の老舗レストラン「吉澤」の、松阪牛A5ランクを贅沢に使用した缶入りハンバーグ。食事を準備する時間がない時、家でもレストランのようなおいしいメニューを食べたいとき、またはちょっとしたお礼の品としても使える逸品。

・カゴメの「野菜一日これ一本長期保存用」
不足しがちな緑黄色野菜を摂ることができ、しかもたっぷりストックできるありがたい缶詰。1缶に30品目の野菜が濃縮され、5.5年と長期保存が可能です。保存用はもちろん、スープや煮込み料理など日常の食生活にも利用できます。

保存の際は、ツナ缶、コーン缶と偏らず、主食になるものからおかずまで、バランスよくストックしておくことがポイントです。買い物が出来なかった時や献立に困る時、アウトドアなどいろいろな場面で役立ちます。購入は、ネットが便利です。


これも缶詰!? 驚きの食材やメインになる缶詰
食材や調理法にこだわったり、新しい加工技術が研究され、今までは考えられなかった缶詰やユニークなネーミングの商品が登場しています。いくつか紹介します。

・こまち食品の「寺内地鶏入り茶わんむし」
業界初の茶碗蒸しの缶詰。なめらかな食感と出汁の風味は想像以上です。

・はたやま夢楽の「The Soup ごく旨地鶏の満ちてくスープ」
ガラや手羽、トサカから丁寧にとったスープを、天日塩で薄味に仕上げた極上スープ。200グラム1缶が1,080円(税込)というグルメな缶詰です。

・武田の笹かまぼこの「Canささ 笹かまアヒージョ」
笹かまぼこをアヒージョにするという画期的なアイデアとおいしさでヒット商品となりました。

いずれも缶のまま、常温で食べられます。
サブのイメージが強い缶詰ですが、ごはんも一緒に入っているので、1缶あればそのままメインの食事になる便利な缶詰もあります。ちなみにごはんも一緒に入っている缶詰は、サンヨー堂の「弁当缶シリーズ」や、いなば食品の「タイカレー&ごはん本場ジャスミンライスとグリーンカレー」、「ガパオ&ごはん本場ジャスミンライスとガパオ」など。

もはやどんな食材や料理でも缶詰になってしまいそう。無限の可能性を感じてしまいます。保存食、非常食ではないグルメフードとして活用できます。日常の食事生活を気軽にグレードアップできるのは嬉しいですね。



おいしいだけでなく、災害時にも役立つ缶詰。もしものときの食品の備え方として、注目されている「ローリングストック」にもおすすめです。「ローリングストック」は、保存食を日常的に食べつつ、食べた分を買い足し、非常時に備えることで、常に新しい食品を備蓄できる利点があります。この方法なら賞味期限がいつの間にか切れていた…という無駄も防げます。

「ローリングストック用は賞味期限が半年以上あればOK。日常生活で消費し、減った分を買い足すのがローリングストックなので、それほど長期保存できなくても構わない」と黒川さん。おいしく食べながら、新しい缶詰が常備されるサイクルが理想です。

最後に、缶詰の保存について黒川さんからアドバイスも。

・保存場所は、納戸や押し入れ、戸棚などで構いませんが、直射日光が当たらず気温の変化が少ない場所がおすすめ
・床下収納はNG(湿気がたまりやすく缶が錆びる可能性が高い)
・冷蔵庫はNG(開閉する際に缶表面が結露しやすく錆びる可能性が高い)

非常用として、味はそれほど期待されなかったのは昔の話。スーパーの缶詰コーナーやインターネットサイトをチェックすると、新感覚の缶詰を発見できますよ。プレゼントや手土産品として缶詰を活用してみるのも喜ばれるかもしれません。


<監修>

黒川勇人
2004年から世界の缶詰を紹介する『缶詰blog』を執筆。缶詰に精通していることから「缶詰博士」と呼ばれ、TVやラジオ、新聞など各種メディアで活躍中。国内外の缶詰メーカーを訪れ、開発に至る経緯や、製造に対する現場の“思い”まで取材するのが特徴。そのため独自の視点から缶詰の魅力を引き出し、紹介している。
Twitter: @hayatino
缶詰blog https://blog.goo.ne.jp/hayatinocans

画像:Getty Images

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