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電気料金の現状を解説 内訳や高騰する原因、マンションでの節電方法とは?

(2022.9.29)

ロシアのウクライナ侵攻などにより、燃料費が高騰。その影響や日本でも電力不足による節電、電気料金値上げなど、生活に欠かせない電力に関する気になるニュースが続きます。今回は、なぜ電気料金は高くなったのか、電気料金の内訳などを解説。さらに、家事アドバイザーの矢野きくのさんから、マンションでできる節電対策を教えていただきました。


電気料金が高くなっている原因は?
大手電力会社10社は、今年10月分の電気料金が「比較できる過去5年間で最も高い水準になる」と発表しました。例えば、東京電力は使用量が平均的な家庭で見ると「去年10月分は7,238円だった電気料金が、今年10月分は9,126円」(2022年8月現在)と26%余りの値上がりになるようです。

電気料金が高くなっている原因は、2022年2月のロシアのウクライナ侵攻の影響と思っている方が多いのでは? しかし、実は2021年9月頃から値上がりは始まっていたのです。背景には新型コロナウイルス感染症も関わっています。感染症を防ぐために世界的にロックダウンや行動制限がかかっていたところに、経済活動の復活を目指し、一気に電力需要が増えたため。とくに電気の原料となるLNG(液化天然ガス)が不足していることが電気料金高騰の原因となっています。

LNG の不足と電気料金高騰の関係を理解するために、日本の電力発電にどのようなエネルギーが使われているかを説明します。

日本の電力は火力(LNG、石炭、石油)、原子力、水力、再生可能エネルギー(風力、地熱、太陽光など)によって発電されています。
使用エネルギーの内訳を見ると、最も多いのがLNGで38.3%、続いて石炭の31.6%となっています。

LNGは石炭や石油を比較してCO2排出量が少ないため、温室効果ガス削減対策として利用が促進されています。また世界各地の埋蔵量が豊富で安定して入手しやすく輸送しやすいことから、日本での利用が増加傾向にありました。ところが、新型コロナウイルス対策の規制緩和による経済の回復で、世界的にLNGの供給が不足し価格が上昇。それが電気料金に転嫁されました。さらに、ロシアによるウクライナ侵攻に端を発した燃料価格の高騰も、現在電気料金の値上がりが続く原因となっています。


電気料金の内訳も知っておこう
続いて、電気料金がどのように決定されるかを見てみましょう。月々の電気料金は「基本料金」「電力量料金」「再生可能エネルギー発電促進賦課金」で構成されています。


電気料金の内訳図

基本料金:
家庭の契約容量で決まります。
電力量料金:
使用した電力量に応じて発生する料金に、電気をつくるために必要な燃料(LNG・石炭・原油)が市場や為替で変動した価格を、「燃料費調整制度」に基づき調整します。
再生可能エネルギー発電促進賦課金:
「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」により電力会社等が買取りに要した費用を電気使用量に応じて負担します。

なお、「燃料費調整単価」について、電力会社の電気料金は、LNGや石炭など火力発電の燃料価格の上昇分を転嫁できる上限が決まっています。今年8月に大手電力会社10社すべてが、これ以上値上げできない上限に達する異常事態となりました。

現在の燃料価格の上昇は日本だけではなく世界的な傾向ですが、世界の中で日本の電気料金は他国と比較してどのくらい高いのでしょうか。電気料金を見直すためにできる身近な節電方法とともに紹介します。


日本の電気料金は高い? 節電することが環境を守ることにつながる
世界でも有数のエネルギー消費国といわれる日本。電気料金は他国と比べてどうなのか気になります。2018年のデータですが、「電気料金の国際比較」によれば、日本の家庭用電気料金は、21.2セント/kWh。これは、世界的にはイギリスの22セント/kWhについで第2位でした。
エネルギー不足が深刻化する今、節電は重要な課題です。節電することで電気料金をおさえることができます。また、CO2削減による地球環境貢献にもつながります。

具体的にどのようなことをすれば、どのくらいのCO2削減と節約ができるのでしょうか。年間を通じて使用している冷蔵庫を例に確認しましょう!


●冷蔵庫にものを詰め込みすぎない
詰め込んだ場合と、半分にした場合を比較すると
年間で電気43.84kWhの省エネ、CO2削減量21.4kg
約1,180円の節約!

●設定温度を適切にする
設定温度を「強」から「中」にした場合(周囲温度22℃)
年間で電気61.72kWhの省エネ、CO2削減量30.1kg
約1,670円の節約!

●壁から適切な間隔で設置する
上と両側が壁に接している場合と片側が壁に接している場合の比較
年間で電気45.08kWhの省エネ、CO2削減量22.0kg
約1,220円の節約!

参照:
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/howto/kitchen/index.html#1

電気料金が値上がりしている今は、さらに節約金額が大きくなります。資源エネルギー庁のサイトでは、ご紹介した冷蔵庫以外にも電気製品ごとに省エネや節電方法が紹介されています。簡単に取り組める対策も多いので、ご家庭で取り組んでみてください。


マンションでできる節電対策
家庭の省エネ対策に詳しい家事アドバイザーの矢野さんに、マンションの構造や間取りを踏まえた節電対策を教えていただきました。


その1:空間を区切る
マンションの間取りは、LDKのように平面でつながっています。すべての扉を開け放っているご家庭が多いと思いますが、冷暖房を使う際は、できる限り間の扉を閉めて狭い空間にするのが効果的です。

その2:照明の見直し
電球がたくさんついている照明器具がはじめから設置されているマンションも多いと思います。明るさが足りているのであれば、電球をいくつか抜くことで消費電力を減らすことができます。

その他、
・冷蔵庫、冷凍庫とも夜間は扉を開けることが少なめなので、夜寝る前は夜間モードや弱にする
・夜間の電気代が安くなるプランを契約しているならば、昼間はポータブル電源を活用して、夜間の電気代が安い時間に充電する
・太陽光が設置されている家や建物の場合、昼間に太陽光で充電したポータブル電源の電気をパソコンやスマホに活用する
という方法も。

特に防災などの観点からも、ポータブル電源は最近注目されています。参考までに矢野さんが使っているポータブル電源について教えていただきました。
機種は、『cheero Energy Carry 450Wh』。消費電力500Wまで使えるコンセントが2口あり、テレビやパソコン、小型の電気調理器などの電化製品に対応。家庭のコンセントからの充電のほか、別売りのソーラーパネルからも充電が可能なので、災害時の蓄電機能としても使えます。1台あると、節電や節約、防災対策に役立ちます。


「節電対策はやりつくしている…」というご家庭も、電気料金の仕組みや、どんな製品にどのくらいの電力を使っているかを具体的に知ることで、効果的な節電対策ができます。しばらく電気料金の高騰が続きそうですが、この機会に地球にやさしい節電ライフに挑戦してみては?


<監修>

家事アドバイザー 矢野きくの
女性専門のキャリアコンサルタントを経て、女性が働くためには家事からの改革が必要と考えて現職。家事の効率化、家庭の省エネを中心にテレビ、雑誌、講演ほか企業サイトや新聞での連載。TVクイズ問題の作成や便利グッズの開発にも携わる。著書「シンプルライフの節約リスト」講談社
https://www.facebook.com/kikuno11/


画像:Getty Images


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