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マンション居住者間のマナートラブル(後編)~気持ちよく暮らしたい!トラブル軽減に向けて居住者ができることは?~

(2019.4.23)

前回は、マンション居住者のマナー違反によりどのようなトラブルが発生しているのか、そしてその時の対処法をご紹介しました。居住者間のトラブルは、当事者間で解決せず管理組合に相談します。管理組合は、管理会社の助言を得て段階的にアプローチし、トラブル解消に向け対応します。

今回は前編に続き、知っているようで知らない管理組合の役割など、マンショントラブルについて詳しい住宅ジャーナリストの山本久美子さんに、直接お話をうかがいとてもわかりやすく教えていただきました。

ポイントは「資産性」と「居住性」の向上
マンションを所有すると同時にメンバーになる管理組合は、マンションの建物や敷地などを管理することを目的とし、居住者間の生活ルールなどのトラブルは管理組合が窓口となります。

理事会が運営業務を担当し、理事は輪番制で1年、2年ごとに交替するマンションがほとんどですが、中には熱意を持った方が理事に立候補して、長期間担当するマンションもあります。

「管理組合が円滑に的確に活動しているのが、居住者間のトラブル解消に重要です。理事は役割意識を持ち、管理会社と良好な関係を築くことで助言を受けて素早く対応することができます。マンションに住む人は共同の資産を守る『資産性』と、共同生活をするうえで快適な暮らしを守る『居住性』という2つを求めています。管理組合はどちらに対しても目配りをしないといけません」(山本さん)

マンションを所有し生活する人が求める「資産性」と「居住性」を向上するために活動するのが管理組合。人任せ、順番だから理事をやる、ではなく、自分の財産を守り、自分が暮らす環境をより良くするための活動と考えると、管理組合に対する意識が変わってきます。


新しい問題に迅速に対応する

社会情勢やマンション居住者の世帯構成、年齢分布によってマンションが抱える問題は異なり、管理組合が対応する内容も変わってきます。管理組合はマンション居住者の声を聞き、必要とされている活動をすることが大切です。

「最近注目されているのが、金銭的にも高額となる修繕積立金です。管理組合が機能していないと、いざ修繕工事というときに積立金が不足する事態が発生します。住んでいる人もマンションも高齢化するときに、管理組合の運営に支障があったり、建て替えや大規模修繕でもめがちになったりする傾向があります。また、高齢者が増えてきたから手すりをつける、駐輪場を増やすなど居住者の生活が改善するような工事を検討できるかは、管理組合がどう活動しているかによります」

それから、管理組合は、「住宅宿泊事業法(通称:民泊新法)」2018年6月施行のような社会問題に、迅速に対応することも求められます。マンションの管理規約に民泊を禁止する条項や、事前の申請を義務付けるなどの規約を入れる場合があります。


管理組合の活動が活発なマンションとは

管理組合の重要性はわかりますが、忙しい日々の中で「順番が回ってきたから」「規定年数をやり過ごせればいい」という意識で理事の活動を捉えてしまいがちかもしれません。そこで、山本さんが実際に訪問したマンションの中で、理事会が積極的に活動している事例を教えていただきました。

「ある防災に力を入れている大型マンションで、準備された防災マニュアルは具体性に欠けるからと、防災委員会を作って自分たちで防災マニュアルを作り直したケースがあります。さらに、防災訓練をしたらトランシーバーの通信障害が発生。実は人による伝書鳩方式が有効だったことなど、実態に即した内容を細かに反映してマニュアルを改良していました。このマンションでは防災設備の見学ツアーを開催したり、防災に関するイベントを定期的に開催したりすることで、居住者間のコミュニケーションが活発になっています」

防災や季節のイベントなどを管理組合が率先して開催することで、居住者が顔を合わせる機会が増えます。コミュニケーションが活発なマンションは、理事長や理事が誰かわかるので声をあげやすくもなります。また、管理人が居住者に声掛けをしたり、居住者同士があいさつをしたりするマンションは、防犯効果が高くなるという点も見逃せません。

「トラブルを避けるための自衛策としては、マンション内で会った時や子どもが生まれるなどライフステージが変わる時に、積極的にあいさつすることです」

居住者間トラブルで難しいとされる生活音の問題も、誰が何のために発している音かわからないことが問題を大きくします。コミュニケーションが活発になることで、隣人と顔をあわせる機会に「子どものピアノの発表会が近づいているので、その日まではいつも以上にピアノの練習をしますがご迷惑にならないでしょうか」など、そんな会話ができれば、音も許容できるものです。


管理組合の活動をサポートするために居住者ができること

管理組合が的確に活動することで問題が起きた時に迅速に対応することができ、またコミュニケーションを活発にすることが、居住者間のトラブル軽減につながることがわかりました。それでは管理組合の活動をサポートするために、居住者はどのように行動すればよいのでしょうか。

「配布される理事会の議事録に目を通し総会に参加する。まずはそんなことから始めてください。理事会が何回開催され、理事長は誰で、どんな問題が発生しているか何となくでも把握することが、管理組合に関わりを持つ第1歩になりますし、自分が理事になったときの準備もできます。また居住者の関心が高くなることで、管理会社も緊張感を持って対応してくれます」

理事なんてできるかしら、と不安になりますが「専門的な知識がなくても大丈夫。管理組合は課題が提示されたら解決する活動です。管理会社がサポートしてくれますし、通常の判断をすればできます」とのこと。

「管理組合は自分とは関係ないと思っている方がいるかもしれません。例えば、自分の部屋の鍵を開ける時に明るいのは、管理組合が照明をつけているからです。日々の暮らしの1つ1つが管理組合の活動と関係していることがわかれば見方も変わると思います」

山本さんの言葉からわかるように、管理組合の活動があるから私たちは快適な生活を送ることができるのです。居住者間のトラブルも、管理組合が対応してくれることで、問題が深刻化するのを防ぐことができます。「資産性」と「居住性」の向上という大きな役割を担う管理組合の活動。自分がどのように参加するか考えてみたいですね。



住宅ジャーナリスト 山本久美子
早稲田大学卒業。リクルートにおいて「週刊住宅情報」「都心に住む」などの副編集長を歴任。04年に独立。住宅の現地取材や購入者の取材や面談調査などから得た幅広い知識を活かし、住宅メディアの編集・執筆やセミナー等の講演活動を行っている。
https://www.facebook.com/yamakumiworks





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