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季節感も楽しめる 和菓子がおもてなしに良い理由とは?

(2020.1.8)

おいしいだけでなく、日本の四季を楽しませてくれるのが和菓子です。中でも上生菓子(じょうなまがし)にはおもてなしにおすすめの理由がいろいろ。その1つが「菓名(かめい)」という名前が付けられていること。「菓名」とは? 今回は、おもてなしにおすすめの和菓子とともに、盛り付けが苦手な人でもできる和菓子での素敵なおもてなしを紹介します。

和菓子の素敵な楽しみ方
和菓子と一言で言っても、煎餅や落雁、最中、羊羹など種類はさまざま。定義としては、一般的には、南蛮貿易までに、日本に入ってきたお菓子を示します。形状には、餅もの、蒸しもの、焼きもの、流しもの、練りもの、揚げものなどがあり、とくに練りものである上生菓子は、江戸時代に京都で発祥したと言われています。とは言え、和菓子は、名もない和菓子職人によって創られたものが多く、諸説あると言われており、断言はできません。


<和歌から作られた上生菓子「竜田」>

上生菓子の素材は、白あんに、山芋で作った薯蕷(じょうよ)あんや求肥(ぎゅうひ)などのつなぎを加え、調整し練った練切あん(白あん)です。形は、季節をイメージし作られます。

上生菓子に付けられている「菓名」とは、最中や羊羹という和菓子の名称の他に、季節や名所、花鳥風月、古典などからその菓子をイメージした名前です。柿の練切に「初ちぎり」、紅葉の練切に「竜田(たつた)」など、菓名を見るだけでも風情豊かに楽しめます。短歌や俳句から選ばれることも多いです。

「竜田」は、
ちはやぶる神代も聞かず竜田川からくれなゐに水くくるとは  在原業平朝臣 
『評解 小倉百人一首』(京都書房)

という和歌から紅葉を表現した上生菓子です。歌の意味は「神代の昔でさえも聞いたことがない、竜田川が(もみじを散り流して)くれない色に水をしぼり染めにしているとは」。美しい紅葉をイメージした色も印象的な和菓子です。
また、新年に初釜で出されるお菓子には、丸めたこしあんを、練切生地で、反物のように包んだ「都の春」や、求肥に、白味噌あんと押鮎をかたどったゴボウの砂糖煮を挟んだ「花びら餅」などもあります。


<新年を祝うお菓子「花びら餅」。初釜のお菓子として親しまれている>

海外のお菓子にも「ラング・ド・シャ(猫の舌)」など、素敵な名前のものはありますが、上生菓子のように季節ごとに名前が付けられているものは世界でも珍しいようです。

上生菓子がおもてなしにおすすめの理由
上生菓子は、その名の通り、和菓子の中では最も上等なお菓子です。お茶席で出されることも多く、少しかしこまったおもてなしにもおすすめ。また、職人たちの技が作り出す視覚的な美しさとともに、お菓子の背景などを楽しめる「菓名」は、おもてなしの席で話題作りにもなりそうです。

この他にも、見た目の上品さや、こぶりなサイズで、おなかにもたれない、食べやすいなどおもてなしにうれしい部分も。
また、1つで絵になるため、お皿に置くだけできれい。盛るのが苦手な人でも安心なところも上生菓子がおもてなしに良い理由です。

銘々皿や懐紙を使って簡単で素敵におもてなし

<銘々皿に和菓子をのせて>
→銘々皿に懐紙を敷くのはケースバイケース。例えば、皿の素材が漆塗りの場合、楊枝で切る時に塗りの部分を傷つけてしまうことがあり、懐紙を敷いておくと心配ありません。

お菓子自体が風流で美しくても、おもてなしの際は器にのせます。和菓子をどんな器にのせれば良いか迷う人もいるのでは? 洋風の小皿などにのせるのももちろん良いのですが、銘々皿を活用してみてはいかがでしょう。

銘々皿とは、それぞれ各々が料理を取り分ける時に使う取り皿や小皿で、それが銘々皿と呼ばれる由来でもあります。陶器や漆塗りなど素材はさまざまですが、銘々皿にのせられて出されるお菓子は、お茶とともにおもてなしの心を感じさせます。

銘々皿がない場合は、懐紙を使用してみてはいかがでしょう。懐紙は、お茶席でお菓子などをいただく時に使うイメージがあるかもしれません。元来、懐に入れて持ち歩いていた紙なので、懐紙と呼ばれます。昔は、今で言うティッシュの他、メモ用紙、ハンカチなどとして多彩に使われていました。懐紙は、デパートの文具店やお茶道具の売り場の他、100円ショップなどでも購入することができます。


<懐紙にお菓子をのせる際、楊枝を添えるとお菓子を口に運びやすくなります>

懐紙には、季節の柄が描かれたものや総柄や色付きのものがありますが、絵柄に関係なく、折り返して畳まれている内側にお菓子をのせることが多いです。また、懐紙には、にじみ止め加工が施されているものもあるので、水気のあるお菓子をのせる場合など、用途によって選ぶと使いやすいでしょう。

銘々皿でも懐紙でも、和菓子を出す時は、洋菓子と同じくお客様から見て、お菓子が中央、お茶は右側に出すのがマナーです。

饅頭など手で割って食べるもの以外には、楊枝を添えて。楊枝は、樹皮付きで角型の大振りなものがおすすめ。スーパーや100円ショップなどでも購入できます。楊枝は、黒文字楊枝と言われるものを使用することが多いです。菓子楊枝に黒文字の木を用いたのは、黒文字の持つ殺菌成分からだと言われています。茶道などで用いる菓子箸にも、黒文字の木で作られた箸が用いられています。楊枝は、使い捨てができるため、お客様が多い時などは、後片付けが簡単にできるのも魅力です。

新年や春は、1年の中でも比較的人をもてなすことが多い時期。簡単だけど美しいおもてなしをしたいものですね。


<監修>

岡崎秀一
科学的な見地で和菓子を語れる和菓子職人。菓子史にも詳しい。和菓子に関しての講演や和菓子体験教室なども行っている。

御菓子処 丸寿
http://www.shonan-sh.jp/shop/gourmet/sweet/marusu/

photo: Getty Images


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