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「春バテ」におすすめ 薬膳研究家に聞いた『食で体調を整える』方法

(2020.2.20)

春になると体の不調が気になる人は少なくないのでは? もしかしたらそれは「春バテ」かもしれません。食事を改善して体調を整えてみてはいかがでしょうか。今回は春バテの原因や症状の他、食で春の体を元気にする方法を、薬膳研究家・阪口珠未さんにお聞きしました。


その症状、もしかしたら「春バテ」かも?
自律神経は、内臓や血管などの働きをコントロールすることで体内の環境を整えてくれる神経です。気温差や環境の変化などのストレスを感じると体内の環境を保ちにくくなるのです。春にこのような体調不良を感じることを「春バテ」と言います。

春は暖かく、心地良い季節というイメージです。しかし、実は1年のうちでも寒暖差が大きい時期でもあります。そのため体調を崩す人が多いと言われています。さらに、新学期、新年度など環境の変化による疲れなどが体調に影響を与えることも。その体調不良の原因の1つが自律神経の乱れと言われています。

自律神経が乱れると、
・倦怠感
・疲労感
・めまいや耳鳴り、たちくらみ
・気分が落ち込む
・肩凝りや頭痛
・便秘や下痢
・イライラ
など様々な不快な症状を感じやすくなります。


自律神経の乱れは食事でも改善できる!

「春バテ」という言葉は最近良く聞くようになりましたが、実は中医学(東洋医学)では古くから春は体調を崩しやすいと言われていました。

薬膳研究家の阪口珠未さんによれば、
「秋から冬は、体がエネルギーをためるチャージモードになります。なので、冬は消化力があり、味噌などの濃い味や脂っこいものなど、こってりしたものも食べられます。でも、春は激しい気温の変化などにも対応するため、冬に比べて体への負担が大きく、抵抗力が落ちやすい時期です。こんなときは胃がもたれたり、食欲が落ちやすいので、この時期の食事は、あっさりしたものがおすすめですね」

例えば、簡単であっさり食べやすいのに、たんぱく質をしっかり摂ることができるメニューとして、「蒸し鶏」があります。
鶏の胸肉1枚(300g程度)を少し濃いめの塩水(水100㏄に塩・砂糖各小さじ1を溶かす)に1晩浸けて、そのまま電子レンジ600Wで5~6分温めるだけ。ちなみにたんぱく質は免疫力アップを助けてくれる栄養素です。

「鶏肉の他には、卵もいいですね」と阪口さん。特に作り置きができる茶卵(ちゃたまご)が良いとのこと。薬膳では、卵は半熟のほうが体に栄養を与える働きが高まると言われています。茶卵も作り方は簡単です。

<半熟茶卵の作り方>

材料
卵:10個
水:300㏄
ウーロン茶またはほうじ茶:大さじ2
醤油:大さじ2
酒:大さじ1
塩:小さじ1
酢:小さじ1
八角または五香粉 あれば適量  なければ、生姜のスライス2,3枚

1.水に烏龍茶(お茶パックに入れる)と醤油、酒、塩を加えてひと煮たちさせ、そのまま冷ます。お茶パックを取り出す。
2.お湯をたっぷり沸かし、沸騰したら、酢を入れて、冷蔵庫から出した卵をそっと沈める。ときどき転がしながら、再度沸騰させ、沸騰したら、弱火で7分茹でる。
3.冷水にとって、しっかり冷まし、皮をむく。
4.密閉容器に卵を入れて、1を注ぎ、そのまま冷蔵庫で1日以上置く。
味が染みたら、食べられます。

2、3日後、漬け汁を沸騰させて、また卵を漬けることができます。茶卵は冷蔵庫で5日ほど保存ができるので、作り置きしておけばちょっと小腹が空いたときに簡単につまめます。菓子パンなどを食べるよりも健康的。

また「作り置きがなかなかできない…」というときは、食事の際、スープなどに豆腐を入れるだけでもたんぱく質を摂ることができます。同じ豆腐でも、春先は冷奴などではなく、体を冷やさないために温かい状態で食べるのが良いのだとか。

旬の食材でも春の体に効果的なものがいろいろあるそうです。春バテに有効な旬の食材についてもお聞きしました。


体に効果のある食材を薬のように使うのが薬膳

疲労回復効果がある春の食材には、ねぎ、にらなどユリ科の野菜があります。香りの強い食材には、疲労回復効果や自律神経を落ち着かせてくれる効果もあるそうです。

<ねぎ・にら>
刻んで、めんつゆとレモンを加え、ねぎじょうゆ、にらじょうゆにして、蒸し鶏や豚肉にかけて。同じく春の野菜であるうども味噌汁に入れて食べると簡単で美味しく、旬も味わえます。

<きのこ類>
きのこ類もおすすめ。特にしいたけは、旬が年2回あり、春のものは腸管の動きを良くし、それによりリラックス効果が得られます。

<セロリ>
鎮静効果、抗不安作用があると言われるアペインが含まれているセロリも春バテには有効。薬膳にも良く使用される食材です。

「体に効果のある食材を薬のように使うのが薬膳です。食事と薬の境界線は曖昧ですが、これが、中医学などで言われる医食同源です。疲れ方がひどい、または夜眠れないなど不調が深刻な場合には、より効果の高い漢方を使います」

ちなみに、自律神経の乱れにおすすめの漢方には、香蘇散(こうそさん)などがあります。香蘇散は、香附子(こうぶし)、蘇葉(そよう)、陳皮(ちんぴ)、生姜、甘草(かんぞう)で構成された生薬です。ただし、漢方の中には効果が強いものもあり、副作用がある場合も。注意が必要です。

中医学では、体を守るバリアのことを「衛気(えき)」といいます。自律神経が乱れることにより疲労してしまうとこの抵抗力やバリア力が効かなくなってくるそう。免疫力が落ちることが、花粉症などのアレルギーが発症してしまう原因の1つにもなっているのだとか。今回紹介したような気のエネルギーを高めてくれる食材を日常の食生活に取り入れて、美味しく、健やかに春を楽しみましょう。旬を味わいながら体を整えられるなんて素敵です。食べ物だけでなく、睡眠不足に注意したり、太陽の光を浴びながら散歩をするなど体を動かすことも「春バテ」予防には大事です。


<監修>

薬膳研究家 阪口珠未

株式会社漢方キッチン代表。
日本中医薬大学講師・日本薬科大学特命講師
文科省国費留学生として、北京中医薬大学に中医学を学び、同大付属病院にて、臨床、サッポロビール合資ホテル「天橋賓館」薬膳レストラン「時珍苑」で料理を学ぶ。
帰国後、漢方薬店にて漢方カウンセリングと薬膳喫茶の経営に関わる。
「おいしく、カラダとココロをリリースする」をテーマに、1999年株式会社漢方キッチン設立。
東京恵比寿にて薬膳スクールと薬店を主宰。清代の西太后をはじめとした宮廷薬膳を研究。企業や自治体でコンサルティング実績も多い。著書に「老いない体を作る中医学入門~決め手は五臓の『腎』の力」「西太后のアンチエイジングレシピ」「毎日使える薬膳&漢方の食材事典」などがある。旅とアウトドアが趣味。
http://kanpokitchen.com


photo: Getty Images


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