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マンションの水漏れ 加害者にならないための対策とは

(2021.11.19)

マンショントラブルにはさまざまなものがあります。その一つが、水漏れです。とくに、マンションでの水漏れトラブルは、自分の家が被害にあうだけでなく、階下の部屋を水浸しにすることもあります。加害者になって迷惑をかけないよう、水漏れトラブルを起こさないために気を付けておくべきことはあるのでしょうか。
水漏れが起きてしまう原因のほか、加害者にならないための対策、万が一水漏れが起こってしまったときの対処法を紹介します。

マンションの水漏れの原因は?
水漏れは、パッキンや給水管に傷がついたり、古くなり劣化することで起こることが多いです。
水漏れが起きた場合、とくにマンションは「上階の床は下階の天井」という構造上の特性を有しているため、被害は境界を越えて隣接住戸にも広がりがち。またマンションでの水漏れは洗濯機やトイレといった水を使う場所の他に、最上階の部屋では雨水の侵入(雨漏り)が原因となる場合もあります。最悪、原因が特定できないケースもあり、厄介なトラブルです。

マンションの水漏れの発生原因は
(1)マンションの建物になんらかの問題がある場合
(2)入居者が生活する中で招いてしまう場合
(3)地震や台風、大雨などの自然災害による場合
の大きく3つに分類できます。それぞれの原因も見てみましょう。

<原因がマンションの建物にある場合>
・施工時から給排水管に接続不良があった
・給排水管の劣化や破損
・防水処理箇所の劣化 など

<原因が入居者にある場合>
・使用時に蛇口や部品が破損
・洗濯機の給排水ホースの外れ
・トイレやキッチンの排水管の詰まりや劣化 など

<自然災害による場合>
・暴風雨で窓ガラスが割れ、雨が吹き込み雨の吹き込みで室内が水浸しになった
・地震の強い揺れで給水管が破断した
・ゲリラ豪雨によりベランダの排水能力を超えて水がたまり、ベランダから室内に浸水してきた
分譲マンションは、玄関から内側の住戸部分にあたる「専有部分」と、それ以外の区分所有者全員で共有する「共用部分に分けられており、水漏れした箇所が「専有部分」か「共用部分」で責任の所在が異なってきます。

マンションの共用部分にある給水管などが水漏れしていた場合は、「マンションの管理組合」が加入している保険で補償されます。
一方、専有部分を原因箇所とする水漏れトラブルは、住戸の区分所有者の自己負担になります。賃貸の場合はまず借家人が責任を負います。

その他、不可抗力が原因となるケースもあります。
例えば、地震や台風、大雨などによって損害が発生した場合は、自然災害による被害をカバーする保険で対応します。その際、地震を起因とする被害の求償は地震保険の加入者に限られ、火災保険だけの加入では補償されません。また、水災補償をオプション(特約)としている保険会社もあり、この場合は事前に特約を追加契約していないと損害は補償されません。注意が必要です。
室内でのトラブルに目を向けてみましょう。
水漏れは、水が溢れて室内が水浸しになるケースや排水管の劣化などによりじわじわと長期に渡って水漏れが続くあります。長期に渡って水漏れが続くと、床材の腐敗や異臭の原因にもなります。
漏水の水量や期間によっては、床下のコンクリートスラブにまで漏水が及ぶ可能性があります。最悪の場合、コンクリート強度が低下してしまう恐れも。いずれにせよ、早急な対処が必要となります。

水漏れに気づいた場合の対処法

「もしかしてこれは水漏れ…?」と思った場合、何をすれば良いのでしょうか。突然の事態に気持ちが動転するかもしれませんが、次の流れを覚えておきましょう。

1. まずはタオルなどで濡れた部分を拭きながら、水漏れの原因を見つける
2. 水道の元栓・止水栓を締める
3. 写真や動画などで現場の被害状況を全て記録しておく
4. 修理業者に連絡をして、修理を依頼

写真や動画などで現場の被害状況を全て記録しておくのは、水漏れの被害者とマンション管理組合への状況説明、さらに保険会社へ被害内容を報告・保険申請するための判定資料として提出するためです。
被害の拡大を食い止めるのが最優先ですが、慌てて片付けたり修理してしまわず、可能な限り全体写真(引き)と該当部分の写真(寄り)を撮影・保存しておきましょう。
その他、事後対応として、水漏れ被害を受けている人がいないか、下階の住人に声掛けすると同時に、管理人とマンション管理組合に被害の発生を報告しておくことも、お忘れなく!

気になる修理費用は?
修理業者に連絡をすると、担当者が現場を確認し、見積りを出してくれます。業者には電話やメールやチャットで連絡ができ、ほとんどの業者は見積りに費用は発生しませんが、念のため連絡時に確認しておくと安心です。水漏れの程度が軽く、緊急性が低い場合は、複数業者から見積りを取り、納得のできる業者に依頼するのが安心です。

修理費用は、部品交換や施工が伴わない場合は数千円〜1万円程度ですが、部品の交換や施工料金が発生すると数万円になります。損傷がひどく、洗面台を全て取り替えたり、床材や家具、家電が破損していた場合はさらに高額の費用がかかることもあります。

保険に入っておくべきか迷う方も多いのではないでしょうか。
床の修理や壁紙を貼り替える被害が起きた場合、マンション購入時に指定された火災保険や個別に加入している火災保険で、「水濡れ事故」としてかかった費用を補償される場合があります。
ただし、水漏れの原因となった給水管などの修理費まで補償されるかどうかは契約している保険によって異なります。対象となる範囲は保険会社に確認しておくと安心です。

加害者にならないための予防策

水漏れの予防策としては、「マンションに暮らしている方は、迷惑をかけないためにも日頃から「もしかしたら・・・」という想像力と危機意識を持つことが重要」と平賀さん。床をはがさないとわからないパッキンや給水管の劣化の場合、なかなか見つけられませんが、日頃のチェックで予防できる場合もあります。

例えば、「ある時、洗面台に沿って床材が変色しているのに気づき、下の扉を開けたところ、床が水浸しだった。洗面台の下には掃除グッズや洗剤類のストックがぎっしりと収納されていたので、水漏れに気づかなかった」というケースの場合。
日頃から洗面台の中を見やすいように物を片付けておくことが大事。しみなどに早く気づくことが予防策につながります。

また、最近の洗面台や台所には、ホースを伸ばして使える、シャワーが付いた物も多いです。この場合、水受けのタンクが取りつけられており、そこに水が溜まります。通常の水量であれば自然に蒸発しますが、頻繁に水を使う場合、タンクが水でいっぱいになることがあり、これが水漏れの原因になることもあります。
この場合は、日頃からタンクをチェックし、水が溜まっていたら水を抜くことが予防策につながります。こちらをチェックする場合もキッチンや洗面台の下には物を詰め込まないこと。物が少ないとチェックも簡単です。

火災保険の加入も一つの方法です。専有部分から漏水させてしまい、とくに他の住戸に損害を与えた場合、火災保険の「個人賠償責任」をオプションとして追加契約していれば、補償されます。
個人賠償責任特約とは、日常生活の事故で負った法律上の損害賠償責任を補償してくれる特約です。
例えば、洗濯機のホースが外れ、マンションの下階の住戸を水浸しにしてしまった場合でも、自ら費用負担する必要はありません。加害者になってしまった場合の強い味方といえるでしょう。

水漏れは、タイミングや程度により想像以上に被害が拡大してしまう怖さがあります。とくにマンションは他の住人の方と同じ建物で暮らしているため、できればトラブルを発生しないよう予防したいものです。物が沢山あると、水漏れに気づくのが遅くなることがあります。
日頃から、水漏れの確認をしやすくするためにキッチンや洗面台の下を整理しておきましょう。
また水道の元栓・止水栓の位置や操作方法は普段なかなか確認することがないので、この機会に確かめておくと安心ですね。

<監修>

平賀 功一
住宅コンサルタント。第一不動産グループの住宅販売会社でマンション販売を経験後、1999年に独立し、e住い探しドットコムを設立。公平・中立をモットーに、第三者(セカンドオピニオン)の立場で住宅取得検討者へのコンサルティング、また、セミナー講師や各媒体でのコラム執筆に従事。

画像:Getty Images

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