検索フォーム

現在地

体にも環境にもほっこりやさしい、郷土料理の魅力と楽しみ方

(2021.12.22)


南北に長く、山、海、川という地形の変化に富み、四季折々のバラエティ豊かな食材を楽しむことができる日本。地域によって風土や暮らしの中で継承されてきたその土地独自の食文化が育まれてきました。

郷土料理は古くから土地の人々に愛されてきた健康食。しかも、地産地消であること、食材を無駄なく利用できる、農作物などを乱獲せずに未来につなげることからSDGs(持続可能な開発目標)の点からも優れた料理といえます。郷土料理を知ることは、自国の食について学ぶ機会につながります。各地でどのような郷土料理が食べられてきたのか、さらに日々の食生活に気軽に取り入れる方法をご紹介します。

郷土料理とは?
地元の食材を使い風土にあった調理法で食される料理のことで、山形の「いも煮」や鹿児島の「鶏飯」、秋田の「きりたんぽ鍋」など全国に無数にあります。2013年に「和食:日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されましたが、郷土料理は、和食の原点と言われることもあります。

農林水産省は、全国各地の郷土料理を次世代に継承していくことを目的として、2019年度から「うちの郷土料理~次世代に伝えたい大切な味~」というデータベースを公開。また地域の食材を活用した食文化を学ぶために、学校給食にも郷土料理が取り入れられ貴重な食文化を途絶えさせない取り組みが実施されています。

北海道や東北地方で鍋物や汁物といった料理が多くみられるのは、厳しい寒さの中で体を寄せ合い温かい郷土料理を囲んで食べてきたから。また寒い地域では長い冬に備えて、大根や白菜などを漬物にし、農作物が収穫できない間の野菜不足に対応。また大根や人参を地中に埋めて日持ちさせる工夫をしてきました。そんな郷土料理の背景を知ることで、先人たちがその土地で生き抜き、家族や地域の人と食を楽しむために工夫してきた知恵を学ぶことができます。

普段の献立に気軽に楽しめる郷土料理


旬の食材や気候に適した調理方法で作られる郷土料理は、その場所で食べるのが一番美味しいですが、住んでいる地域のスーパーをはじめ、ネットなどで気軽に手に入る食材を使い、自宅でも各地の郷土料理の雰囲気を楽しむことができます。

農林水産省のデータベースには北は北海道から、南は沖縄まで実に約500品目の多彩な郷土料理が掲載されています。食べたことがある料理もありますが、大半は初めて聞くものばかり。郷土料理の豊かさに驚きます。

その中から代表的な郷土料理と、簡単なアレンジレシピのワンポイントをご紹介します。


●いも煮(山形)
秋に食べ頃を迎えるほくほくの里芋と一緒に、こんにゃく、ねぎ、きのこ類などの季節の野菜を煮込んだ鍋料理。山形でも内陸の山形盆地辺りでは醤油と牛肉を使い、海に面した庄内地方では味噌と豚肉を使うなど、地域によりベースとなる味や食材が異なります。運動会や地域行事では、家族や友人と一緒に作って食べる「芋煮会」が県民の団らんに欠かせません。

材料:里芋、牛肉、こんにゃく、ねぎ、(きのこ類、ごぼうなどを入れる場合もあり)
アレンジ:しめにうどんを入れることが多いですが、最近はカレールーを入れてカレーうどんにして食べるのも人気です。

●ほうとう(山梨)
小麦を練り平らに切った「ほうとうめん」と、かぼちゃ、ねぎ、しいたけやじゃがいもなどを味噌ベースの汁で煮込んだ麺料理。年間を通じて食べられますが、打粉を付けたまま煮こんだ汁は粘性があるため冷めにくく、体が温まる食事として冬場に食べることが多いです。味付けは、山梨では味噌を使います。
ほうとうは、埼玉や群馬でも食べられており、こちらはしょうゆ味で「煮ぼうとう」または「おっきりこみ」と呼ばれます。かぼちゃは入りません。

材料:ほうとうめん、じゃがいも、かぼちゃ、大根、人参、白菜、しいたけ、長ねぎ、油揚げ、味噌
アレンジ:地元では、旨味がつまった残り汁を翌朝ご飯にかけて食べるのもおすすめ。「ほうとう飯」と言われています。

●漬物ステーキ(岐阜)
岐阜県飛騨地方は、昔から極寒の冬の貴重な食料であった漬物を焼いて食べる習慣があり、凍りついた漬物を朴葉(ほおば)にのせて囲炉裏で焼いたのが始まり。現在はフライパンなどで焼きます。飛騨地方の居酒屋では人気の定番メニューです。

材料:白菜の漬物、卵、鰹節
アレンジ:漬物ステーキをごはんにのせて丼にすると絶品と好評です。

●賀茂なすの田楽(京都)
直径10cmを超える丸みを帯びた「賀茂なす」は京都の夏を代表する野菜。半分に切った「賀茂なす」を油でじっくりと焼き、甘味噌と一緒に皮ごと食べます。ずっしりと実がしまり、きめ細かでみずみずしい味わいは、7月の祇園祭の時期に料亭などで人気の一品です。

材料:賀茂なす(代替:米なす、丸なす)、田楽味噌
アレンジ:あらかじめ切った加茂なすを電子レンジでやわらかくした後、油をひいたフライパンで、両面に焼き色を付けます。油との相性がいいので美味しくいただけます。

●鶏飯(鹿児島)
奄美地方に伝わるもてなし料理。「けいはん」と読みます。白飯にほぐした鶏肉、錦糸卵、椎茸、パパイヤ漬けなどの具材とねぎ、きざみ海苔、胡麻、紅生姜などの薬味をのせ、鶏ガラスープをかけてさらさらとお茶漬けのように食べます。

材料:米、鶏肉、干ししいたけ、卵、パパイヤの味噌漬け(代替:たくあん・つぼ漬け)、ねぎ、みかんの皮(代替:ゆずの皮)、のり
アレンジ:スープに市販の鶏ガラスープの素を加えるとだしの味に深みが加わります。また、ごはんをそうめんにすることでよりさっぱりと食べられます。

5品それぞれから地域の風景が目に浮かび、土地の空気感まで感じることができるようです。郷土料理は地元の食材でパパッと作ることができる料理が多いのも特徴です。毎日の献立に悩んだ時は、出身地や旅行で訪れた思い出の場所の郷土料理に挑戦してみるのはいかがでしょうか?

家族みんなで食べるなら電気グリルが便利


郷土料理は「いも煮」や「ほうとう」など、コトコト煮込む鍋料理の他、鉄板で焼く料理も多くあります。
いろんな料理を試したいなら、鍋としてもホットプレートとしても使える電気グリルが便利です。電気なので、卓上ガスコンロや土鍋がなくても、コンセントにつなげば食卓で気軽に調理ができます。火が出ないのも安心。家族で気軽に食卓を囲んで郷土料理を楽しめます。こちらでは、電気グリルでも作れる郷土料理を紹介します。

●鮭のちゃんちゃん焼き(北海道)
ちゃんちゃんという名前は、「お父ちゃんがつくるから」や「焼くときに鉄板とヘラがチャンチャンという音を立てる」など、さまざまな由来があるようです。作り方は簡単。ホットプレートに季節の野菜と鮭の上にバターをのせて一緒に蒸し焼きにします。味付けは、味噌と砂糖、みりん、酒。手軽につくれる上、見た目が豪華。しかも野菜がたっぷり食べられるので、ここ一番で重宝する料理です。

材料:鮭、キャベツ、たまねぎ、人参、ピーマン、もやし、味噌
アレンジ:味噌と相性のよいチーズを加えるとボリューム感がアップします。

●瓦そば(山口)
茹でた茶そばを熱した瓦の上に具材とともにのせ、温かいつゆでいただく瓦そば。下関市にある川棚温泉の名物です。西南戦争の際、長い戦の間、野草や肉などを屋根の瓦で焼いて食べたという古老の話を基に考案された料理。瓦を熱々にしたものにそばをのせるのですが、瓦のかわりにホットプレートを使うと簡単。ちなみに元々は本物の屋根の瓦を使っていましたが、いまは特注の瓦を使用しているそうです。見た目が華やかで、子どもから大人まで幅広い世代に人気の料理です。

材料:茶そば、卵、牛肉、ねぎ、レモン
アレンジ:牛肉をツナに替えるというアレンジも楽しめます。

冬は鍋が続きがち。そんなときに鮭のちゃんちゃん焼きや瓦そばならホットプレートででき、メニューに変化をつけられます。

また、食卓を囲んでいろんな土地や食材、調理法について話すことは、家庭でできる食育です。日本は小さな島国でありながら豊かな食文化を持ち、家族や地域の人々と一緒に食べる時間を大切にしてきました。そのことに気づくことで「食」や「人とのつながり」を見直すきっかけにもなるはずです。


保存技術や流通網が発達し、全国どこでも同じ食べ物が行き渡る便利な時代だからこそ、個性豊かな郷土料理の魅力にひかれます。郷土料理は食材を大切にし、各地の食材を余ることなく使うところから、世界の環境問題などを解決する目標であるSDGsにつながります。
また郷土料理をきっかけに、地域の文化や歴史、食材に興味が広がると生活が豊かになりそうです。家庭で楽しむ日本の味巡りを是非お試しください!


参考:農林水産省「うちの郷土料理」


<監修>

青木ゆり子
郷土料理研究家。世界の料理 総合情報サイトe-food.jp代表。ブロードウェイの演劇取材のため頻繁に訪れていたニューヨークで各国料理の魅力に目覚め、その後、企業のWEBディレクター等を兼任しながら2000年に「世界の料理 総合情報サイトe-food.jp」を創設。ミシュランガイド三つ星レストランから路地裏の隠れた名店まで、地元・東京をはじめ、日本・世界各地で郷土料理を食べ歩く。


画像:Getty Images

関連記事


高級食パンブーム!よりおいしくいただくための食べ方やプロおすすめのトースター機能を紹介
発酵食品が大人気!寒い季節にぴったりの健康レシピをご紹介
コラム一覧はこちら

でんき案内板 おすすめメニュー


電気料金明細の確認はこちら
電気の見える化グラフはこちら