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いつもの室内がワクワクする空間に! 防災にも役立つベランピングの楽しみ方と注意点

(2022.3.25)
マンションのベランダを活用していますか? 新型コロナウイルス感染症で、旅行やおでかけを気軽に楽しめない今、ベランピングに挑戦してみるのはいかがでしょうか。
ベランピングとは「ベランダ」と、「グランピング(豪華なキャンプ)」を掛け合わせた造語で、アウトドア感覚を取り入れたベランダの楽しみ方です。ベランピングについてお話してくださったのは、ご夫婦で「家事シェア」「片づけ」の会社であるミニマライフを運営されている香村薫さん。ベランピングの具体的な方法や注意点とは…? 

(※この取材はオンライン会議ツールを使用し、リモートでインタビューしたものです)

ベランピングの楽しみ方は?

香村さんがベランピングをするようになったのは、約2年前。コロナ禍のステイホームが続く中、どうしたら時間を持て余さず家族が楽しめることができるかを考えていた時です。

「家族でキャンプをするのが好きだったので、簡易的なテントを室内で張ってみました。すると室内の雰囲気が一変。子どもたちはもちろん大人の気分も変わり、まるで野外にいるようにウキウキしました」

「一般的なマンションのベランダは、子どもが縄跳びをするのも難しいほど狭いスペースです。ベランダで何かをするというより、ベランダと室内の境目をなくして、室内の半分を室外のように使うと楽しいかもと思いました」

そのヒントになったのが、マンション大規模修繕工事。修繕工事の期間中、ベランダに置いてある植木などを全て室内に入れ、ガーデニングコーナーを作ったところ、室内を室外のように活用できたということを思い出したそうです。

ベランピングと聞くと、アウトドアグッズなどを使ったベランダでのプチキャンプをイメージしますが、実際は部屋とベランダの境目をなくしてゆったりと過ごせる空間を作ること。いつもの室内空間がベランダとつながるだけで、暮らしにワクワク感をもたらしてくれます。


ベランピングの環境づくり
マンションでベランピングをするために、どのような準備が必要なのでしょうか。香村さんによると、ポイントになるのはできるだけ床と壁の「コンクリート感を消す」ということなのだとか。

「ホームセンターなどで売っている『ジョイントウッドパネル』を床に敷くだけでベランダの印象がガラリと変わります。室内と段差がある場合は、段差がなくなるように高さがあるものを使うと、室内からひと続きの空間になります」

段差がないと外に出やすくなり、活用の範囲も広がりそうです。ただし、ベランダ部分はマンションの共用スペースに区分されます。そのため勝手に壁の色を塗り変えるようなことはできません。壁をカスタマイズしたい場合は、ホームセンターなどで購入できる『ラティスフェンス』がおすすめ。木製のフェンスを立てることで壁のコンクリート感を隠すことができます。

「目線の先に木のぬくもりを感じることで、まるで庭があるようにリラックスした気持ちになります。フェンスにフックを付けて、小物や花を飾るとインテリアとしてもおしゃれ。その下に小さなブロックで花壇の囲いを作るのもよいですね」

ベランダのスペースが狭く壁が近い物件の場合、ベランダのコンクリート感をなくしグリーンを配置するだけで、室内からの景色を変えることができます。また、隣接するマンションの視線が気になる場合は目隠しとしても有効です。


香村家のベランピングをご紹介
室内では控えてしまうことが、ベランダだとできることもあります。香村さんが自宅で楽しむベランピングスタイルをいくつか紹介します。




●室内でアウトドアグッズを活用
室内外で使えるディレクターズチェアやハンモックを室内に配置。ハンモックは窓のギリギリに置いて窓を開ければ、外気を楽しめベランダに出し入れする手間もいりません。ディレクターズチェアや折りたたみ式テーブルは、使用時だけベランダに出せば汚れが気になりません。


香村さんのおうちで使用されているハンモック。持ち運びやすいので、家の中でもベランダでも気軽に利用できます。ベランダに出しっぱなしにすると風雨で汚れたり劣化するので、その都度入れるのがよいそうです。

●子どもと一緒に工作
親子で一緒に楽しめるのがDIY。室内だと汚れや匂いが気になることも、ベランダならOK。木にスプレーでカラーリングをしたオブジェや、子どものアート作品を入れる額縁を制作。作った物を飾る楽しみもあります。

●フットバスで足湯

香村家では、バブル機能付きのものを使用されているそう。

肌寒い時期に楽しめるのが、フットバスを使った足湯。ベランダに電源があれば電気式のフットバスを使えますし、電源がない場合は、洗面器や発泡スチロールの箱で代用しても。お気に入りのアロマを入れたり、空を見上げたりしながらリラックスでき、ベランダなら床が濡れるのを気にすることもありません。

●大人空間を演出
空間づくりの三要素「音楽」「香り」「照明」にこだわることで、大人空間を演出。音楽はボリュームを抑えたり、イヤホンを使うなど工夫します。周囲に配慮しながら蚊取り線香を活用するのもおすすめ。香りが夏を演出するアイテムになります。さらに照明でシックに演出した空間でお酒を楽しめばリラックス効果も高まりそう。

このほか、春から初夏に実践すると気持ちよいのがヨガだそう。
「ベランダは細長いので、ヨガマットを敷くのにちょうどいいです」と香村さん。キャンプやアウトドアにこだわらない、自分らしいベランピングスタイルを探してみるのも楽しそうです。


ベランピンググッズは災害時にも使える
防災士としても活動している香村さん。防災士とは、防災の意識や知識、技能を持っている人を認定する民間資格で、防災力を高める活動が期待されています。香村さんは、そんな防災への意識を活かし、ベランピングに使っているグッズは災害時に役立つものをチョイスしているそうです。

香村家のベランピングで大活躍しているのが『ソーラーランタン』といわれる携帯型LEDライトです。太陽光で充電でき、畳むと1cmほどの厚さになるので持ち運びや収納が便利。プロのアルピニストも使用している本格仕様ながら、インテリアとしてもおしゃれなデザインです。


折りたたむことができる素材でできているので、収納もしやすい。
ソーラーパフ
サイズ: サイズ:使用時/11×11×11cm、収納時/縦22×横11×厚み1.5cm重量:75g仕様: LED10灯 点灯時間: 6時間(強)、12時間(弱) 

「防水防塵仕様なので、汚れや雨を気にせずベランダで充電しています。日中しっかり充電すれば、6~12時間ほど点灯するのでベランピングはもちろん災害時にも活用できます。常に充電されているライトを準備しておくと安心にもつながります」

もうひとつ、あると災害時に安心なものとして香村さんがあげてくれたのは『ポータブル電源』。香村家には2台あり、1台を自動車内、もう1台を室内に置きフル活用されているそうです。選ぶ際の基準をうかがってみました。

「USB充電ができるとスマホへの充電に便利です。私が購入したときはUSBのType-Aというものが多かったのですが、最近はType-Cが主流になりつつあります。また、コンセントがさせるかどうかもポイントですね」

香村さんが使用しているポータブル電源は、スマホなら約7回は充電できるため、家族みんなのスマホの充電も余裕でできます。

「現代の生活の中で電気がストップしてしまうことほど困ることはありません。ポータブル電源は持っていても、充電されていないといざという時に使えません。いつ停電してもよいように常にフル充電しておきたいですね。そのためには、普段使いをしておくのが大切です。ベランピングで使う場合、暑い季節なら扇風機の電源にするのもおすすめ。一晩中持ちますよ」

ベランピングを行う際に注意するべきこととは?
ベランピングを充実させるために、ソファやテーブルのような重く動かしにくい物をベランダに置きっぱなしにするのは注意が必要です。ベランダはマンションの共用部分であることは先に述べましたが、火災などの緊急時にただちに避難ができるよう、避難経路を確保することが消防法で定められています。マンションのベランダには、一般的に災害時の避難用として下の階に避難するはしごが収納された『避難用ハッチ』や、ベランダから隣の住戸経由で避難する際に破れるようになっている『隔壁パネル』があります。ウッドパネルを敷く際に『避難用ハッチ』の上をふさいだり、『隔壁パネル』をさえぎるような物を置くのは避けましょう。

マンションによっては、ベランダに大型の鉢植えを置くことを禁じていたり、『ラティスフェンス』などのフェンスの使い方を定められている場合があります。設置する際は、マンションの管理規約など禁止事項や注意事項を必ず確認してください。

また小さい子どもがいる家庭では、ベランダからの転落事故を防ぐ対策が必要です。大人にとって心地よいインテリアでも、子どもが遊ぶ時に思わぬ事故につながることがあります。よじ登ることができるような危険なものは配置しないなど気をつけましょう。保護者の目がない状態で、ベランダで子どもだけが遊ぶことがないように注意することも大事です。


室内とベランダを緩やかにつなぎ、壁や床のコンクリート感をなくすことで、今までにないリラックススペースを作り出すことができるベランピング。いつもの室内が外につながっているだけでワクワクします。さらに家族や仲間とセッティングすれば気分転換になること間違いなし。しかし、ベランピングを行う際は、周辺の方々の迷惑にならないよう、配慮を忘れず楽しみたいですね。


<取材・監修>

香村薫
片づけの専門家。株式会社ミニマライフ代表取締役。トヨタグループで学んだ仕事のメソッドを家事に応用した「トヨタ式おうち片づけ」を発案。LINEのやりとりだけで家じゅうまるっと片づける「LINE片づけ」が好評。全国での講演活動や書籍執筆、防災士として「防災×片づけ講座」も行っている。『トヨタ式おうち片づけ(実務教育出版)』など4冊の書籍を出版。


photo: Getty Images
    香村様ご提供

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